今回の任務は姉弟子との任務だった。
義勇さんから姉弟子がいることは聞いたとこがなかったので、その事実を知ったときには驚いた。
それにしても姉弟子はどんな人なんだろうか。
鱗滝さんに尋ねてみても強い、という情報しか教えてもらえなかった。
禰豆子とも仲良くしてくれるだろうか。
眼の前で見た煉獄さんの死闘が瞼の裏に焼き付いていた。
目を閉じるといつも煉獄さんの言葉が頭の中を反芻していた。
目的地に着く頃、まだ太陽は高いところにいた。
そこには背の高い学生のような出で立ちの人がいた。
学帽からは長い髪が揺れていた。
「あの、匂宮さんですか」
「ああそうだよ。君が噂の炭治郎くんか、よろしくね」
匂宮さんは俺を見下ろしてから口角を上げた。
街を歩きながら今回の鬼について聞き込みを行う。
どうやら小さい子供やその母親が犠牲になっていた。
隔日に被害があるようで、今夜がその日であるようだ。
「では私が犠牲になろう」
「すみません、お願いします」
「囮になるもの慣れてるからね」
確かに鬼はより栄養の高い女性を狙う傾向がある。
匂宮さんは囮を引き受けることが多いのだろう。
「鬼というのは臆病な奴らだからね、囮だと気付かれちゃダメなんだよ」
「なるほど」
「目的地はあそこの街灯と街灯の間。暗がりにしよう。炭治郎はそこで待機していてくれ」
「わかりました!でも匂宮さん、刀はどうすれば」
「そんなの君が持っていればいいだろ」
「途中で渡すってことですか?!」
「そうだよ当然だろ」
匂宮さんは当然のようにそう言った。
この人も結構破天荒かもしれない。
任務自体はそこまで危険なものではなかった。
匂宮さんが刀を持たないままで鬼を拘束したので俺は頸を斬るだけだった。
匂宮さんは傷を負っていたが俺は完全に無傷であった。
それにしても匂宮さんの身のこなしはさながら鬼のようだった。
あんなに素早く、滑らかに、強く動ける人は初めて見た。
「きゃーー!かわいい!!」
「む⋯⋯」
「ちっちゃいときの出夢にそっくりだよ〜〜!」
藤の家に到着して、禰豆子を籠から出してやると匂宮さんが禰豆子を抱きしめた。
仲良くしてもらえるかな、とは思っていたがこんなに熱烈的だとは思わなかった。
「うちの子にならない?ダメ?」
「ダメです!!」
「こんなにかわいくて鬼なの?まあ出夢も鬼みたいな戦闘狂だったしこんなもんか⋯⋯にしてもかわいいね〜!今日一緒に寝ようよ〜〜」
匂宮さんは禰豆子を抱き上げて布団に入った。
禰豆子も嬉しそうではあるからよかった。
電気を消すと、外の暗さが身に沁みた。
今日も鬼を殺すことができた。
これでまた鬼舞辻無惨に近づくことができた。
必ず、やつを殺してやる。
「杏寿郎の最期は、どうだった?」
「⋯⋯煉獄さんは、最期まで煉獄さんでした」
「そう、⋯⋯そりゃあよかった」
「お知り合いでしたか?」
「まあまあ仲良かったかな。ここ一年は会えなかったけど、実家行ってスイーツ食べたり仲良かったかなあ⋯⋯あーあ⋯」
匂宮さんが泣いている音がした。
すごく悲しくて、なにか後悔しているような匂いがした。
禰豆子の戸惑う声が聞こえた。
匂宮さんがごめんと謝っていた。
そのうちに禰豆子も泣き出してしまった。
俺もなんだかとても悲しくなって、三人で泣いてしまった。
そのうち疲れて眠ってしまって、気付けば外が明るくなっていた。