実家に帰るとご馳走が待っていた。
両親とは相変わらず距離を感じたが、母は生きている私を見て泣いていた。
私もなんかちょっと泣けた。
平和ボケしているんだと思う。
ガキのことも手紙では報告してあったので直接問い詰められることもなかった。
ただ結婚相手が柱ということに大層驚いていた。
実弥が責任をとってだの、一生大切にだの言っていた。




「手でも繋ぐか」
「はァ?!」
「結婚してんだからそれくらいするでしょ」
「てめ、…急に、そんな感じなのかよ……」
「嫌なんだー残念」
「……そうは言ってねェだろが」

実弥は私の手をぎゅっと握った。
手の皮が分厚くて、肉刺が何度も潰れたんだろうなという手だ。
かくいう私の手もかなり強者の手をしていると自負しているが。
あと何度この手を握ることが出来るだろうかと私は思いを馳せた。
私は途中で死ぬだろう。
私はそのような生き方しかできない。
私はいつも結末まで見ることが叶わないのだ。



そのまま実弥の家に帰るとお館様からお祝いの品が届いていた。
実弥と私の瞳の色を使った湯飲みだった。
私達が同じ時間を過ごすことが出来るように、お館様からのご配慮があったのだろう。
何時まで面を合わせることが出来るか分からない状況なのだ。
お館様は凄い考えてくれているんだなあ。

私はお茶の入れ方も適当なので実弥がお茶を淹れてくれた。
妻ってなんかこういうの出来ないといけないんだっけ?

「私ご飯とかそんな作れないけど」
「……だからなんだよ」
「家事は最低限しかやらないし」
「最低限やってんならいいじゃねェか」
「針仕事は自分の服しか作んないよ」
「そういうのはお前に求めてねェよ」
「あっそう」
「お前がそこにいりゃ、それだけでいいだろ」

これは多分プロポーズだと、私はその時思った。
この不器用な男からの、最大限の愛の言葉だと、私はそう感じた。

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