一週間後の潜入に向けて敬語の教育を猛烈な勢いで始めた。
当初に比べれば中々上達してきてはいる。
さらにマナーや仕草も教え込んだ。
時間が無さ過ぎて俺もナギも4徹した。
この一週間で寝たのは昨日だけだ。
イタリアンマフィアにこの女を接触させるのは不安が残る。
しかし適切な人物といえばこの女しかいない。
襲撃された際に対応できる女はこいつしかいないのだ。
彼についてわかったことは彼が確かにイタリアンマフィア中国支部の下っ端であること。
そして日本で薬を捌くためのルートを築こうとしていることだ。
「今日の僕は『飯島ヒカル』、ナギは『飯島葵』。パーティーに呼ばれた社長とその妻だ。名刺は僕が持っている。会社はIT系のベンチャー企業。いいな?」
「かしこまりました」
「拳銃は持っているか」
「当然だ、です」
「では行くぞ」
「了解」
設定を確認して僕達は車から降りた。
ナギは自然に僕の腕に彼女の腕を絡ませた。
それから招待状を確認され、会場に入った。
今日のナギはいつもより大人びた女に見える。
これならあの男も彼女に靡くだろう。
「僕は皆さんに挨拶してくるから君はここでゆっくりしててくれ」
「はい。いってらっしゃいませ」
にこりとナギは笑って手をひらひらと振った。
彼女はマフィアの元へ。
僕は青島の元へと向かった。