青島に取り入るのは思ったよりも簡単だった。
著書を読んだこと、そして彼の主張に賛同していることを伝えると彼は気を大きくして話し出した。
僕がIT系の会社社長であることを伝えると彼の笑みは深くなった。
ゲリラなどの実働部隊はいても情報に長けた人物はあまりいないらしい。
そしてどうやら喉から手が出る程資金に飢えていると見える。

また後で落ち合うことを約束して、ナギを探しに行くことにした。
奴はうまくやれているだろうか。
英語は話せると言っていた。
ロシア語、中国語も少しは話せると。

『カッコいいわね。自分の信念を貫く男性、私は好きよ』
『君のような美しい女性に褒められるなんて光栄だな。君ともう少し話がしたい』
『私夫がいるの。でもあなたが彼よりも私を愛してくれるというならあなたの物になってもいいわ』

少し深い笑みを浮かべながらナギは男に顔を寄せて話していた。
どうやら上手くやっているようだ。
ナギはマフィアの男を手玉に取っている。

『愛などいくらでも君に捧げよう。でもすまないな、今日は大切な話し合いがあってね』
『そうしたらあなたに繋がる連絡先を教えなさいな。一期一会にしておくには勿体ないわ』
『当然だ。ここに連絡してくれ』
『ふふ、また今度ね』
『ああ、楽しみにしてる』

ナギはそう言って彼とハグを交わすと俺の元に戻って来た。
マフィアは俺をじいっと見ていた。
ナギの夫として警戒しているようだ。

ナギは俺とアイコンタクトを交わした後、俺と共にビュッフェに向かった。
怪しまれない以上に食べるなと言ったが無視された。
いつもまともな食事をしていないからってここで食べるなよ…
パーティーもそろそろ終わりそうだ。


それから僕達は風見の車に乗り込み、マフィアに仕掛けた盗聴器からの声に耳を傾けた。
パーティー終わりの会場で彼等は会っているらしい。
マフィアにフスコ、そして青島の三人。
どうやらマフィアから軍資金と武器を提供するようだ。
青島からは麻薬のルートの情報提供を行っていた。
武器の譲渡は一か月後。
それまでにすべてを片付けなくてはいけない。

僕達の読みは当たりだったようだ。
これで裏付けも出来た。
あとはもう一度彼等を洗うだけ。
彼等の会話が終わると俺達は三人で座席に背を預けた。

「意外とハニートラップもいけるんだな」
「イタ公が色恋に弱いだけだ」
「そうか?」
「イタ公の腸は豚のと同じ匂いがするって聞いたことがあるな」
「何だそれ」
「わからない」

そう言ってナギは薄く笑った。
俺もつられて笑うと風見が驚いた様に俺達を見た。

「なんだ」
「意外といいコンビだと思いまして…」
「ありがとう」
「俺はそう思わない」
「酷いな」

それから車は発進して、庁舎に向かった。
敬語の練習をしてやっていたが、途中で寝やがった。
仕方ないから今日は寝かせてやろう。



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