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「今日の昼飯だ」
「私の昼飯か?」
「そうだ」

もうそんな時間か。
決着の時はもうすぐそこに来ていた。

零が差し出したのは風呂敷。
零が作った弁当だろうか。
今日の昼食のことなど頭になかったのでありがたい。

「おいしそう…」
「僕の部下なら食事もしっかり取れ。初めての現場だからといってミスは許さないからな」
「明日も作ってくれるのか?」
「僕の話聞いてたか?」

新鮮そうなレタスと玉ねぎにチキン南蛮。
それと白いご飯。

「いただきます」
「作りすぎたからたまたま持ってきてやっただけだ。いつもナギの食事内容は酷すぎるから見てられない。栄養バランス剤一杯の時もあったな。特に体が資本の業務なのに信じられない。しかもな、……」

喫茶店バイトの賄い以外のまともな食事は久しぶりだ。
舌がバカだから詳しくは分からないがとにかく美味しい。
店を出せる程美味しいんじゃないだろうか。
でもまあ零も喫茶店バイトをしているから美味いのは当たり前か。
いやそれにしても美味い。

「美味しかった!」
「もう食べたのか…」
「明日も楽しみだ」
「おい明日も作るとは言ってないぞ」
「明日はパスタがいいな」
「お前なぁ」
「報酬は仕事で返すよ」

零は眉間に皺を寄せていたが、ふっと笑うと去って行った。
タッパーを洗って乾かした後、デスクからお菓子を取り出して詰められるだけ詰めて零の机に置いておいた。

ロアナプラで彼を死なせる保険は一応掛けておいた。
でもまあ奴ならイエローフラッグあたりで勝手に死ぬだろう。
彼がロアナプラに出発したことを確認して、私は一旦パソコンを閉じた。


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