「初めてあんな汚い英語聞いたぞ」
「嘗めんなよって言っただけだ」
零はゲテモノを見るような顔をしていたがそれは無視しておこう。
パソコンに向かい合って被害者の情報を探すことにしよう。
「情報が操作された痕跡がある」
「どうやら被害者たちにも何かありそうだな」
どうにもダミーの情報が多い。
被害者たちは一般人のはずではなかっただろうか。
調べても調べても一貫性のない情報が出てくる。
二人してパソコンに向き合っていると、気付けば夜も更けていた。
「あーダメだ。目が疲れた」
「休憩するか」
「ああ。仮眠室行って来る」
パソコンを閉じ、机周りを整理する。
フロアを出て行こうと零を見ると、彼はまだパソコンとにらめっこしている。
「行かないのか?」
「もう少しやってから行くから先行ってろ」
「そうか」
フロアを出て自販機でコーヒーを二つ買った。
再びフロアに戻り、真剣な顔で画面を見る上司を見て少し笑った。
気配を消して後ろから近づき、コーヒーを頬にぶつけてやった。
「うお?!…なんだよ」
「私が上司を置いていくとでも思ったか不届きものめ」
「…」
「零がやるなら私もやる。そういう言ったはずだ」
デスクに座り、パソコンを立ち上げた。
こういう男だと分かっていたのに無駄な片付けをしてしまった。
「僕の部下は随分と従順なようだ」
「幸せな上司だな」
「冗談は汚いジョークだけにしておけ」
「はいはい」
二人で軽く笑って作業を再開した。
もうすぐ日付が変わりそうだ。
きっとまた二人して死んだ顔で朝日を見ることになるんだろう。