被害者の戸籍が偽物であるとFBIに伝えるとすぐに検証すると連絡が来たのが一週間前。
風見に日本に入国する危険人物を調べてまとめるよう伝えたのは2日前。
そして被害者全員の本物の戸籍、そして彼等の身辺についての情報が大体集まったのはついさっきのこと。
「まさかあの事件に繋がっているとはな」
「…厄介なことになりましたね」
辿り着いたのは十数年前に中国で起きた警察官大量虐殺。
一人の男が同僚の警官数人を銃殺した。
本来ならばこの男は刑期を終えていないはずだが、他所の国のことだから今頃どこかにいる可能性はあるだろう。
「……ナギさん?」
「…最悪だ」
「何か知っているんだな」
「知ってるも何も…」
ナギが珍しく言葉を詰まらせていると風見が報告書を持ってきた。
「降谷さん、大変なことがわかりました」
「何だ」
「明日三合会タイ支部のボス、張維新が入国するそうです」
「何だと?!」
ナギが頭を抱えたのを視界の端で捉えた。
三合会が日本で何をする気だ…?
何故タイ支部のボスがわざわざ出てくる?
「…ナギさんもしかして……、この事件の犯人が張維新なんですか?」
「…流石名探偵」
ナギは降参、といったように両手を軽く上げた。
「張の旦那がこの事件に関わってるはずだ。犯人は殺された奴等の関係者ってとこだろう」
「張維新に直接話を聞くのが手っ取り早いな」
「そういうことになりますね…」
捜査協力を依頼するとなると、三合会に一つ貸しを作ることになってしまう。
かなり面倒なことになるぞ…
捜査協力ではなく、マフィアへの検問という体で接触を図るか…
「風見、三合会へ連絡をとってくれ」
「はい、しかし…」
「ひとまず話がしたいと連絡してくれればいい」
「…わかりました」
風見が部屋を出ていくのを見届けて俺はもう一度口を開けた。
「ナギ、張維新とはどういう関係だ?」
「ロアナプラで奴を知らない人間はいない。そういうことだ」
いつもの様な顔でナギはそう言った。