張の旦那がこの島国に何の用だ?
三合会の動きを調べてもイベントはなさそうだ。
となると張の旦那のプライベートか。
それともこの事件の片を付けに来たのだろうか。
三合会について調べればその理由がすぐにわかった。
三合会支部のない日本で本国の幹部と会合があるらしい。
面倒ごとを持ち込まないでくれ…
「チッ…本国でやればいいものを」
「全くだ」
零が作ったピラフを食べながら私はパソコンをいったん閉じた。
少し離れた所では別の奴らが別の案件を追っているようだ。
窓際に近寄ると太陽の光をより強く感じた。
「ナギも行くことになるからな」
「そのつもりだ」
張の旦那と面を合わせるのは何年振りだろうか。
そりゃあ奴を思い出さない日がないと言ったら嘘になる。
ただ彼はもう私にとって過去の人なのだ。
それがこんな縁でもう一度会うことになるなんて。
明日ボロを出さないように三合会について徹底的に調べあげる必要がありそうだ。
ロアナプラを出て数年、マフィアの勢力関係のことに無頓着だったツケが回ってきた。
「張維新はどんな奴だった」
「強い、頭もいい、あと童顔だ」
「最後の情報はいらないな」
三合会は最近更に力を強めているようだ。
日本にはまだ手を出してはこないようだが。
このままだといつその手が伸びてくるかわからない。
ハッキングなどする能力もないから地道にただ奴等について調べていく。
きっと明日検問に来ることなど奴等はもうわかっている。
日本の警察がそこまで能無しだとは思っていないはずだ。
ただその中に私がいるとは思っていないだろう。
まあ私を見つけたとして驚いたような顔はしないと思うが。
「ナギがまとめた資料を見せてくれ」
「今送った」
「僕も送ったから目を通しておいてくれ」
「かしこまりました」
それぞれの資料に目を通し終わるとすでに丑三つ時を過ぎた頃だった。
真っ暗な外を見ると疲れた顔をした自分が反射していた。
「明日に備えて休みを取っておくんだな」
「そうだな。睡魔に惑わされて零の頭をぶち抜いたりしたら困る」
「困るどころじゃないだろ」
「怒られないからいいだろ」
「死人に口なしかよ」
零と別れてシャワーを浴びた。
仮眠室に乱雑に置いてあるスプリンクラーの死んだベッドに横たわる。
目を瞑るとすぐに眠れたような気がする。