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指定の場所に立っていると定刻通りに車が止まった。
ドアが開いたのでそのまま乗り込む。

「元気そうだな」
「あんたも」

視界の端で張の旦那が口を開く。
脇に携えた銃の重みを感じる。

ワンピースとジャケットは零と新一が用意したものだ。
盗聴器やGPS発信機は付いていないと言っていたが、一応私の方でも確認させてもらった。
確かに付いていなかった。

「そうかしこまんなくていいだろ、お前らしくもない」
「これでも緊張してんだよ」
「面白い冗談だ」

アームレストに肘を掛けて少し息を吐く。
銃で解決できることじゃない。
私が一人、独断で取り付けたこの機会に仕事の運命が掛かっているのだ。

「どこに向かってんのこれ」
「お前が好きなものが食べられるぞ」
「そりゃ助かるな」

車はそれからも静かに走り続けた。
空気がひりついている。
ただ沈黙だけがそこに漂っていた。



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