八月朔日が掴んできた情報は確かにこちらにとっては有難いものだった。
あの張維新とこの事件との関係性の確証を得られたのだ。
「関係者たちの殺された日付……彼等の誕生日から35日後じゃないですか?」
「……ホントだ」
「中国では35日後に法要が行われるので、それに関連付けたのかもしれませんね」
「お前、張維新の誕生日は知っているだろ」
「……ご想像の通り。35日後なら来週だ」
敵は全てここに合わせてきたのか。
あまりにも時間がない。
あと3日ちょっとで敵の位置を把握しなければいけない。
監視カメラを製造する企業に連絡して映像を提出するよう指示した。
それから八月朔日には張維新のスケジュールを把握しておくよう伝える。
忙しくなるな、今以上に。
犯人の顔認証システムに警察内の監視カメラのデータを読み込ませているが、まだヒットしない。
早速送られてきた企業からの映像もシステムに読み込ませる。
それにしても張維新と八月朔日は一体どういう関係だったんだろうか。
今となっては過去のことだろうが、上司としては把握しておいた方がいいと思う。
しかし八月朔日が自分から言わない所を見ると、本人もあまり口に出したくはないようだ。
上司の僕から尋ねれば部下の八月朔日は答えるだろうが、そうしてしまえば信頼関係を崩してしまう気がする。
「八月朔日、張維新との関係性を教えてくれ」
赤井秀一………
「何でお前如きに教えてやらないといけないんだ」
「気になるからだ」
「なら一生気にしてるといい。頭をスッキリさせたくなったら私が風通し良くしてやる」
物騒だな、と赤井秀一がそう呟いて会話は終了した。
やはりあまり答えたくないらしい。
それにあまり関係性が悪かったようには思えない。
今回の事件に有利に働くようであれば、僕がわざわざ問いたてることもない。
「ヒットした!」
「何?!」
検証画面を見ていた新一君が大きい声を出した。
確かに、そこにはあの海兵隊員がいた。
「昨日の深夜、新橋の住宅街……」
「交通機関の映像には姿がないから遠くには行っていないだろうな」
「捜査員に直接探させる。風見に連絡しておく」
「じゃあ私は銃の手入れでもしておくか」
八月朔日が口角を上げたのが見えた。