張維新は2日後に会合を済ませ、その後色々と対応してから翌々日にはその場を離れる予定らしい。
そこのエリアの予約状況や登録状況から大体の場所を絞る。
大体の目星は付いたが絞り切れない。
癪だが赤井秀一からも狙撃手としての意見も聞いてやる。
「立地から大体の予測はつくが、やはり現地に行ってみないと何とも言えないな」
ということで赤井秀一と八月朔日には現地に行ってもらうことにした。
犯人が街で見付かればすぐに向かってもらうことになっている。
僕はここで新一君と今後の予測をしつつプランを立てていく。
「向こうに内通者がいるはずなんですよ」
「それは僕も思っていた。彼のことだからそれはもう分かっているはずだ。何なら目星も付けていそうだな」
「……そんな切れ者だったんですか」
「ああ。支部とはいえマフィアのボスだ。相当死線を潜っているな」
「……ナギさんは本当に、何者なんですかね」
そもそも素性の分からない奴が公安にいること自体がイレギュラーなのだ。
多分それは彼女の名字と同じ、亡くなった上司が関係していることは確かなのだが今は確かめる術がない。
「マフィアから正しい情報を得られるってだけで大分おかしいんだよ……相当彼女を信頼していないと出来ないことですよ」
「事件が終わったら僕からもちゃんと聞いてみるか」
「こればっかしは俺でも解けませんから」
八月朔日は赤井秀一と揉めずにやれているだろうか……
今までは知らなかったが上司以外にはかなり喧嘩っ早いことが分かった。
赤井秀一限定かもしれないが。
やはり部下は上司に似てしまうものなんだろうか……
犯人の捜索には少数精鋭で行かせた。
観光客や友人に見せかけた数名が街を見回っている。
明らかな尾行や上からの捜索は警戒を強めてしまう。
努めて自然に振る舞うよう指示している。
赤井秀一から多分ここに潜伏するだろうという情報が送られてきた。
狙撃手のことは狙撃手に聞くのがやはり一番良い。
風、見晴らし、ターゲットとの距離、立地を加味するとその場所が一番良かったのだろう。
2人も自然に振る舞いながら帰ってくるよう連絡を入れる。
とにかく僕たちが犯人に手が届きそうなことを気付かれてはいけない。
慎重に慎重を重ねる必要がある。
「八月朔日を監視に付けて、赤井に狙撃させるのが無難だな」
「俺もそう思っていました。人避けも交通規制も出来ないとなればそれが一番ですね」
「爆弾を抱えている線も捨てきれないな……」
「狙撃がバレた場合捨て身で張維新に突撃しかねませんね」
それをされるのが一番厄介だ。
国民が巻き込まれる可能性が高い。
それだけは絶対に避けなければいけない。
やはり接近戦で確実に犯人を再起不能にする必要がある。
爆弾を所持しているとすれば、それはボタン式だろう。
自分でタイミングを計って爆発させなければ確実に張維新を殺すことは出来ない。
「さすがに赤井さんの狙撃一発で戦闘不能には出来ませんよね」
「ああ、だからやはり接近戦がカギになる。相手が次の一手を出す前にこちらから仕掛ける必要がある」
「……ナギさんですか」
「ああ、うちで一番適任はあいつだ」
殺人に躊躇がなく、如何なる状況でも敵に攻撃を仕掛けることが出来るのは八月朔日しかいない。
やはり八月朔日に頼ることになってしまったな。