ポアロで安室さんと話をしているとナギさんがやってきた。
すると安室さんはアイスが切れたと言って買い出しに向かった。
店にいるのは俺とナギさんの二人。
ナギさんと共にポアロのお留守番をしている時だった。
事件は起こった。
「手を挙げろ!!金を出せ!!」
覆面を被った男三人組が店内に押し入って来た。
手には拳銃。
銃口が俺達を狙っていた。
…強盗だ!!
どうする、…今いるのは俺とナギさんの二人。
二人でゆっくり両手を挙げる。
とりあえずナギさんの安全を確保しなければ…!
「私達はただの客。お留守番しているだけなのでお金は出せない」
「ああ。だから俺達を人質に取っても意味ない」
ナギさんは困った顔をしていた。
こんな時なのに泣きもせずにいられるなんて…
俺が工藤新一であるからという理由で襲われた訳ではなさそうだ。
単なる強盗ならそれでいい。
丸腰の俺達が今反撃するのはベストではない。
取りあえず降谷さんが帰ってくるまでこの場を繋ぐしかない…
「チッ…!」
犯人の一人がナギさんの髪を掴んで椅子から引きずり下ろし、こめかみに銃口を当てた。
まずい…!
「この女を死なせたくなかったら金を探しな!」
「いたっ…」
犯人はナギさんの髪を掴んでこめかみに銃口を突き付けた。
仕方なくカウンターに入り、金庫を探す。
ナギさんは相変わらず泣くことなくそこにいた。
犯人のうち一人が俺の傍に近付き、俺の手元を覗き込んだ。
その瞬間、
「あぁあああ…!!!!」
バンッ!
男の野太い声に続いてすぐに銃声が響いた。
カウンターの下にいた俺は思わず目と耳を塞いだ。
強い衝撃音と薬莢の匂いが店に充満した。
「この女…!」
「中々いい銃みたいだ」
ゆっくりカウンターから顔を出すと信じられない光景が広がっていた。
ナギさんを拘束していたはずの男の腕には万年筆が突き刺さっており、彼の拳銃はナギさんの手中にあった。
そして俺の傍にいる犯人が持っていた銃には弾丸がめり込んでいて、すでに使い物にならなくなっていた。
あの一発が銃にぶち当たっていた。
この女…何者だ…?
拳銃の扱いに慣れてるとかいう問題じゃねえ。
プロだ。
「戻りました…って何ですかこの状況?」
「強盗にあって、私が制圧したところ」
「…はァ?」
それからはもう一瞬だった。
降谷さんがすぐに警察に連絡して事は収まった。
ただ解決出来なかったのがナギさんの拳銃の腕だ。
あれは只者じゃない。
あんな化物級のスキルは見たことがない。
「新一君は本当に見たんだね?ナギさんが撃った弾丸が犯人の拳銃に当たったのを」
「ああ、見たよ…あんなのは初めて見た」
「彼女はたまたまだと言っていたが」
「いや、あれは完全にプロだ。まぐれなんかじゃない。狙って当てたんだろうな」
「なるほど…彼女についてもっと調べる必要があるみたいだ」
ナギさんが国家の敵か味方か。
俺も出来るところまで調べてみよう。
渦中の彼女は警察に褒められて照れ笑いを浮かべていた。
拳銃を撃った後のナギさんの顔が俺の脳裏にこびりついていた。