ポアロに出勤すると新一君が早速ナギについて尋ねてきた。
僕が言えるのは彼女は敵ではなさそうだということだけだ。
彼女についてはまだ深く調べられていない。
一応一般人の彼に必要以上の情報は渡せない。
笑顔を張り付けながら対応していると、店のドアが開いた。

「こんにちは!って今日は梓さんいない」
「ナギさん!こんにちは」
「新一君だ!それと安室さんも」

ニコニコの笑顔でナギは現れた。
昨日の恐ろしい程の無表情が嘘みたいだ。
ナギは新一君の隣に座っていつものように他愛もない話を始めた。

「ナギさんって一人暮らしなんだ」
「そうなの!だから家で一人だと何も食べない日とかある」
「料理上手なのに?」
「自分のために作るの面倒だから食べても菓子パンとかかな…」
「ナギさんのことが心配になってきた…」

確かに俺も仕事で忙しい時や泊まり込みの時にはまともな食事はしてないが…
体本位の仕事なんだからちゃんとした食事を取るべきだ。
食事のせいで命を落としたりしたらたまったもんじゃない。

「あ、そろそろ行かなきゃ。今日は借りてた機械を返しに来ただけなの」
「随分大きいな」
「大変だったんだよ!それじゃあまたね〜」

ナギはそう言って帰って行った。
そういえば彼女のお店にレコードプレイヤーを貸したと聞いたきがする。
レコードプレイヤーが入った袋を新一君がつぶやいた。

「ナギさんってやっぱり普通じゃないよな」
「どうしてだい?」
「これだけの物を片手で持ってきたんだぜ?普通女性じゃ持ち上げるのも難しいのに」
「確かこのレコードプレイヤーは10kgだったはず」
「あの人片手で軽々持ってきたんだぜ?俺でも無理だ」

何か特別な仕事をしている、そう新一君は言った。
確かに彼女は普通じゃない。
あそこまでの技術を得るために、どれほどの努力と戦場を経験してきたんだろう。
僕の知りえない彼女がまだまだいるようだ。


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