「え?!ㇼパちゃんアイヌなんだ!」
「そうだ。美優はどこから来たんだ?」
「東京だよ。飛行機で来ようか迷ったんだけど、北海道まで新幹線で行ったことないから行ってみようってなってさ」
「ひこう…しんかんせん…?なんだそれは」
「知らないの?じゃ教えたげる」
ㇼパちゃんのおばあちゃんに挨拶をして、今日は泊まっていってもいいと許可をもらった。
宿に連絡しようも電波がないのでもうどうしようもない。
キャンセル料を払うしかない。
悔しい。
アイヌには初めて会ったけどみんないい人そう。
現代でライフラインのない家がまだ現存していることに驚いた。
当然風呂も洗濯機もない。
ㇼパちゃんは飛行機や新幹線、テレビすら知らない。
普段の生活を聞くと、狩猟で生計を立てているらしい。
信じられない。
料理を振る舞って貰って、遠慮なく食べてしまった。
ウサギの肉は初めて食べたけどすごく美味しかった。
ってかウサギって法律上食べていいんだっけ?
食事が終わるとㇼパちゃんや子供たちから質問攻めされた。
東京ってどんなとこ?
東京は何が流行ってるの?
なんの仕事をしているの?
森で何してたの?
1つずつ答えていくと子供たちが喜ぶので楽しい。
子供たちとくすぐり合ったりじゃれ合っていると時があっという間に過ぎる。
ㇼパちゃんはずっと何かを考えているようで眉間にしわを寄せていた。
もう夜も深まってきたので寝る流れになった。
キャリーから化粧落としを出して、化粧を落としていく。
少し水を貰って洗い流した。
「美優…お前…それ化粧だったのか」
「え、それどういう意味」
「そういう顔の奴だと思っていた」
「すっぴんとかマジ恥ずいから見ないで」
「随分印象が変わるな」
「やめて!」
寂しいと言うとㇼパちゃんが一緒に布団に入ってくれた。
向き合うようにしているとㇼパちゃんが真剣な顔で口を開いた。
「美優、もしかしてお前は未来から来たんじゃないか?」
「そうなの?」
「あまりにも私たちが知らないことが多すぎる」
「…確かにライフラインがないのは驚いたけど、そういうお家もあるよねって思ってた」
「またわからない言葉だ。そもそも美優の恰好は明らかに浮いている。私は街に行くこともあるが、みな着物を着ているぞ。常に洋装をしているのは軍人ぐらいじゃないか」
「軍?!」
ㇼパちゃんの話を聞いて、今は過去の時代なのかな…?と曖昧に思っていたが軍という言葉でそれが確信に変わった。
令和の日本において軍というのは存在するはずがないのだ。
「軍なんてだいぶ前に解体されてるよ…」
「美優、今は明治時代だ。お前が生きていた時代はなんだ?」
「……令和…」
頭をぶん殴られたぐらいの衝撃を受ける。
今が明治時代?
意味が分からないどころじゃない。
どうすればいい。
北海道に一人旅行っちゃおって思ってたら明治時代にいたとか。
マジで笑えない。
「美優、泣くな。お前はすぐ泣く」
「だってぇ…もう友達に会えないのかなとか思ったら泣けちゃって…」
「私が友達になってやるから泣くな。今後の事を決めるまでここにいるといい」
ㇼパちゃんが小さな手で涙を拭ってくれたので更に止まらなくなった。
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