数名の軍人たちと旭川に行くようつるみちゅに言われた。
私はようやくまた立ち直りつつあった。
季節はもう夏だった。
旭川にいる鯉登の手伝いをしてあげて欲しいとのことだった。
如何にも私を気遣って、私が気落ちしないようにしてくれている。
うーんよくない…
客観的に考えてつるみちゅに従順な鯉登の手に私が落ちるのはよくない。
精神状態に異常をきたしている今は隠していることを話してしまう可能性が高い。
いつも以上に気を張り詰めておかなければ。
しかし鯉登は変なところで鋭いからいつものように振る舞わなければいけないな…
通達されてから数日後、数名の軍人たちと旭川へ移った。
軍人の一人が持って来てくれたトランプで遊んだ。
酔った。
「待ってたぞ!」
他の軍人に紛れてうまく顔を見られずに済んだ。
鯉登の部屋まで行って、ようやく軍帽を脱いだ。
暑かった…
髪はお団子にして軍帽に纏めて入れてある。
伸びていた髪は理容室で切ってもらった。
髪は絶対ロング派だったが、髪を乾かすのが流石にダル過ぎた。
管理も行き届かない。
私が指示を出して理容師さんにその通り切ってもらったのだ。
胸の下まで伸びた髪は鎖骨あたりまで短くなっていた。
案外悪くない、何なら似合ってる。
鯉登は軍人たちに指示を出したので私も従おうと思ったのだが、ここに残れと言われた。
軍人たちはここでの宿舎に行ってしまった。
軍人たちが去った扉を見ていると鯉登に抱き着かれた。
「勅使河原、会いたかった…!」
「よ〜しよしよし!偉かったね〜!」
「犬扱いすっな!」
髪をわしわしと撫でてやると鯉登が怒る。
可愛い奴め。
私と鯉登はそこまで身長が変わらない。
寧ろ私の方が高いので頭が撫でやすいのだ。
撫でやすいところに頭があるのが悪い!
「髪を切ったのか」
「うん。暑いし乾かすのダルくて」
「…切った髪をおいに渡してほしかった」
「呪う気?!」
「ちごっ!」
他愛もない話をした。
旭川に来て何をしていたか、つるみちゅに会いたいこと。
鯉登が変わっていないことに変な安心感を覚える。
つるみちゅの動きについては鯉登も把握していた。
下手なことを話すと、弱音を吐いてしまいそうでダメだった。
「そういえば私ってどこに泊まっていいの?」
「勅使河原には私と同じ部屋に泊まってもらう」
「なるほど」
つるみちゅの権力が確実に及ぶ所といえばそこしかないか。
多分私の存在は第七師団の上層部の公認ではない。
だからもし女が、しかも未来から来たことが広まれば大事になるはずだ。
殺生に直面して精神状態が不安定な私を周りに顔なじみがいない状況において、自分たちへの依存度をあげようということか。
あわよくば体の関係でも結んでくれたりしたら、つるみちゅとしては御の字だな。
なるほど。
普通のか弱い女子なら完全に堕ちる。
と、いろいろ思考していると鯉登が私の顔をじいっと見ていたのに気付く。
「…何を考えている」
「今日のご飯は何かなーって」
「今日はライスカレーだ!」
「ヒュー!楽しみ!」
それからここでの過ごし方について教えてもらった。
基本は常に鯉登と過ごすようだ。
官舎も合同なのでなるべく鯉登と共にいた方がよいらしい。
少しであれば自由にしてもいいと言われたが…
主にはこの部屋で書類の整理や掃除をしてほしいと。
「じゃあ早速やってくね〜」
「分からないことがあれば聞いてくれ」
「はーい」
OL生活の始まりだ。
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