書類整理をしながら、内容を少し覗き見る。
どうやら軍事についてのことだ。
流石に軍のことは見てもよくわからない。
鯉登も金塊についてだけではなく、軍全体の仕事もしているのか。
大変だな…

「なんだ?私に見惚れたか」
「いや違うけど」

書類整理がひと段落ついた所で部屋の掃除に取り組んだ。
元々そんなに汚れていないのでやることも少ない。
しばらくすると休憩だと言われた。
鯉登が昼ご飯を持って来てくれたので一緒に食べる。
そんな日々ももう二週間は過ぎていた。
私達は一か月ぐらい旭川にいる予定らしい。
ソファーで横に並んで天ぷらに手を付けた。

「わいん作った飯が食べよごたっ」
「ここじゃ無理。また今度ね」
「渡した櫛は持っちょっか?」
「いつもポケットに入れてあるよ」

ポケットからもらった櫛を取り出すと鯉登が顔を輝かせた。
可愛い奴め。

「これが落ち着いたら、もう一度櫛を贈らせてくれ」
「コレあるからもう一個はいいかな」
「そうじゃなかっ!」
「天ぷら美味しいね。私揚げ物怖くてさ、自分じゃ躊躇しちゃうんだよね」
「…はぐらかしたな…まあいい」

櫛を贈ることに何か意味があるんだろうか?
昼食は美味しくて、秒で完食した。

「勅使河原が元気になってきたようでよかった」
「…来た時は元気に見えなかった?」
「気を張り詰めてるように見えた」

鯉登の官舎は部屋が二つあって、私達は分かれて布団を敷いて寝ていた。
もしかして、夜泣いてたのがバレたのか…?
部屋が分かれてるからと油断した。
それに四六時中鯉登といるので、私の変化に敏感になるのにも頷ける。

「辛いことも愚痴も全部私が受け止めてやるから、隠し事はしないでくれ」
「うん…ありがとう」

笑うと涙が一つ出た。
一つ出ると、次から次へと流れてくる。
鯉登が私の肩を掴んで、鯉登の方に振り向かされた。
鯉登が手ぬぐいで私の涙を拭いていた。

「手を出せ、握ってやっ」

無意識に力強く組んでいた手を解けさせられる。
右手を握られて、左手を鯉登の肩に回させられる。
そのまま鯉登に抱きしめられて、私は人前で、自分のために初めて泣いた。


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