◎1
紫が同僚らしい男と学校から出てくる所を見てしまった。
今日も今日とて紫とどっかに遊びに行こうかと紫を待っている時だった。
男は見るからに好青年で、悔しいが俺よりいい男だ。
教師で社会的地位も確かだ。
紫は綺麗だ。
そりゃあ男たちが放っておく訳がないよな。
見れば紫は隣の男と楽しそうに話してやがる。
もしかしたら二人は付き合っているのかもしれない。
俺の出る幕なんて最初っからなかったって訳か。
紫に声を掛けることもなく、俺はその場から離れた。
「師匠こんなところで何してるんですか?」
「…モブか」
帰っている途中でモブに出会った。
こいつも家に帰る所か。
「今日は春夏秋冬先生と一緒じゃないんですね」
「ああ。もうあいつに付き纏うのはやめるわ」
「え…どうしてですか?」
「あいつにはお似合いの男がいるから俺は身を引くってことだよ」
何でモブにこんなことを話しているんだろう。
誰でもいいからこの虚しい気持ちを分かって欲しいんだろうか。
そんな自分に呆れてしまう。
こんなんだから俺はいつまでたっても紫の隣に立てないんだ。
「じゃあな」
何か言いたそうなモブを置いて俺は帰路に戻った。
帰ってから飲んだビールはいつもより美味しくなかった。
mae tsugi
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