◎1
早めに終わった学期末テストの帰り、私は新隆と帰っていた。
手を繋ぐと新隆の体温を感じることができて、幸せだった。
明日から春休みで、新隆が遠くに行ってしまう前に思い出を作ろうとか話していた。
新隆にプレゼントしてもらったマフラーを付けて、私は笑っていた気がする。
だから私は完全に油断していた。
自分が超能力者であることを忘れ、平凡に生きていた。
目の前に男たちが立ちはだかるまでは。
「よう…久しぶりだな」
以前見かけた久しい顔をした男が現れる。
もう知らないふりは出来ない。
何十人と囲まれているのが分かった。
しかも今来るとはタイミングが悪い。
新隆が隣で驚いた顔をしていた。
「隣の男は彼氏かい?」
「違いますけど」
「そう言うなよ。しっかしお前みたいな化物にも恋人って出来るんだな」
化物だってさ。
ああそうだよ私は化け物だろうね。
超能力者で、その力が強いなんてさ
「紫は、化物なんかじゃねえよ」
新隆が隣で言った。
新隆が口を開くとは思っていなくて、私は驚いて隣を見上げた。
「紫は普通の女子高生だぞ。好きな物は甘いもので可愛いものが結構好きで、それに俺と付き合ってる」
新隆はそう言った。
なんでこの場面でこいつはこうも言い切れるんだろう。
超能力もないくせに。
どうしてこいつはこんなにも、馬鹿で、愛おしいんだろう。
「そうかよ。じゃあその女子高生とやらを連れ去らせてもらおうかなッ!!」
男はそう言って私達に突っ込んできた。
バリアを何重にも張って伏せぐ。
だがそのバリアがだんだんと破られていることを私は気付いていた。
どうしたものかと私は頭を捻らせた。
mae tsugi
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