10



「……」
「…無理すんなよ」

由奈さんは斜め下を向いたまま固まっていた。
由奈さんは男が苦手だと聞いた気がする。
ショック療法として俺と二人で昼を過ごすことにしたんだろうがダメらしい。
流石にバカすぎる。

「私も、自分を変えたいと思って、」
「そうかよ」
「花宮くんを攻略できたらどんな男も大丈夫、っててっちゃんが言ってたから花宮くんを誘ったの」
「…攻略って」

確かに俺を攻略?出来れば他の男なんてクソだが。
由奈さんは木吉に俺のことをどんな風に伝えられているんだ。

「何かあったら今吉かてっちゃんに言いつければいいとも言ってた」
「それ俺に言っていいのかよ」

由奈さんはうん、と小さくうなずいた。
友達だから隠し事はあまりしたくない、と。

「早く食えよ」
「え、あ、忘れてた」
「バカかよ」

冷めきったうどんを見て由奈さんは焦って食べ始めた。
この分だと思ったより早く手駒に出来そうだ。
ただ厄介なのが一人増えたな…。




 

ALICE+