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「おはよう、花宮くん」
「…はよ」
由奈さんと学食で会った。
目がいつもより少し腫れていた。
「…一緒に食べない?」
「ああ」
ちょっと困ったように笑った。
多分昨日、サトリと何かあったんだな。
「私さ、多分今吉が初恋だったんだ」
「そうかよ」
「でも、憧れだったのかもしれない」
「………」
「恋愛って難しいね」
由奈さんはそう言ってまた困ったように笑った。
サトリに告白でもされたんだろうか。
由奈さんはいつもより落ち着いていた。
それに独特のフワフワした雰囲気がなくなっていた。
由奈さんが少し屈んだ時、痣のように付けられたキスマークが見えた。
ああ、サトリに迫られたんだ。
このお人よしのことだから断ることも出来なかったのかもしれない。
最後までしたのか?
出来ればしていないで欲しいと少しだけ思った。
「…相手のことが好きならそれじゃダメなのかよ」
「いい、と思う」
「じゃあそういうことだよバァカ」
「あはは、……でもさ、私花宮くんになら裏切られてもいいって思えるよ」
俺は思わず箸を止めた。
どういう意味だよ、それ。
「意味わかんねーよ…」
「私もよくわかんないんだよね」
由奈さんはまた眉を下げた。
裏切られてもいいって。
俺は元々人を裏切って生きてきたような奴だったっていうのに。
しかもそれを知った上で何でそんな事を言うんだろうか。
「花宮くんに裏切られても私は後悔しない気がするんだ。これって好きっていう感情なのかな?」
そんなの、俺が知りてえよ。
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