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「花宮くんから誘って来るなんて珍しいね」
「は?じゃあもう誘わねー」
「そんなぁ…」

由奈さんはしゅん、と悲しそうな顔をした。
嘘だよバカ。
それくらい分かれアホ。
俺は由奈さんを大学から少し離れた個人経営のレストランに連れ出した。
ゆるりと流れる時間が由奈さんに合っていると少し思う。


「美味しいね!」
「ああ」

出される料理一つ一つに美味しい美味しいと、由奈さんは言っていた。
ホントガキみてぇな女だ。
でも美味しそうに食べる由奈さんを見ているのは気分が悪くなかった。
メインディッシュを食べ終えて、由奈さんは満足そうに笑顔を浮かべていた。

「こんなお店があるなんて知らなかったよ〜」
「俺も最近知った」
「また来ようね!」
「…そうだな」

由奈さんはニコニコと俺を見ていた。
多分俺はずっとこの人の隣にいたいんだ。
バカみたいに間抜け面晒して笑ってるこの人を隣で見ていたい。

「俺は、器用な人間じゃない」
「知ってるよ」
「由奈さんより精神年齢は高い」
「そうだね」
「由奈さんに酷い事を言ったりもする」
「はは、それはやだな」
「でも俺は、由奈さんが好きだ」

ああそうだ。
俺は由奈さんが好きだ。
気付いたら誰よりも好きになっていた。
俺が由奈さんを手駒にすることはできなかった。
逆に俺が手駒にされていたんだ。
悪童も落ちたものだと自分を笑った。



 

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