「花宮くんはてっちゃんの知り合いだったんだね」
「そうですよ」
「猫被ってるんだってね」
「………聞いたんですか」

週が明けた月曜日。
由奈さんが初めて俺に声を掛けてきた。

「取り繕わないでいいよ」

無表情だったけれど、ハッキリとその言葉は聞こえた。

「私と友達になって」

変に真剣に言うもんだから俺は笑った。
こういう天然な所が弟そっくりだ。
由奈さんはじいっと俺の顔を見ていた。

「ふはっ、なってやるよ」
「ありがとう」

そう言ってにこやかに笑った。
俺に向けられたその顔があまりにも明るくて俺は少し目を伏せた。
だいたい後輩にタメで話されて怒らねえのかよ。
そういうバカな所は嫌いだ。

「お昼、一緒に食べようね」

この女なりに頑張っているんだろう。
…ホント馬鹿な奴。







 

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