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「今吉くんの試合見に行こうよ」
「んええ?!」
バスケ部の友達がそう言った。
確かに前見に来てもらったから私も行くのが義理ってやつだ。
「いつなの?」
「今週の土曜」
「行ける〜」
目の前の友達が何かを企んだように笑った。
「凄いね」
「凄いねぇ…」
今吉はスタメンで出ていた。
凄い、凄かった。
カッコよかった。
試合は勝ったみたいだ。
よかったぁ。
私を見て友達が笑った。
「由奈、今凄い良い顔してた」
「ええ、なにそれ…」
何だか恥ずかしくなって両手で頬を抑えた。
「お疲れ様です〜!」
私は男バス内でもアホだと認識されているらしい。
アホの木吉だ、ああ…あの…、とかいう声が聞こえた。
心外だ!
「…見に来てくれてたんや」
「う、うん!見に来たよ〜」
試合後の今吉は何だかいつもよりかっこよかった。
ちょっとドキッとした。
「凄かったよ!やっぱりバスケうまいなぁ〜!それにか、かっこよかった、し……」
改めて今吉にカッコいいと伝えるのは死ぬほど恥ずかしかった。
友達が頑張れ、と言っていた。
「わ、私帰るね!お疲れ!!へへ…」
私はそう言ってから、友達を置いて走り去った。
ここ最近で一番早く走れたんじゃないのかな…。
今だけは彼の顔を見ることが出来なかったのだ。
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