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朝起きたら家だった。
泣いてからの記憶がない。
…どうなってるの…?
「姉ちゃんおはよう」
「てっちゃん!」
てっちゃんがキッチンに立っていた。
なんてキッチンの似合う男なんだ…
我が弟ながら将来はいい旦那さんになりそうだ。
「気分はどうだ?」
「思ってたより大丈夫だよ〜」
「そりゃよかった」
てっちゃんが笑って言った。
テーブルにはしじみの味噌汁と納豆とご飯。
私の好きな物を全部用意してくれてる。
いい弟を持って幸せだ…
「食べようか」
「うん!」
ご飯を食べながら録画していたバラエティーを見る。
てっちゃんと同じ所で同じように笑った。
「姉ちゃん」
「ん?」
次は何を見ようかと録画一覧を見てる時、てっちゃんが真面目な声で私を呼んだ。
「花宮と仲良くしてみたらどうだ?」
「…何で花宮くんなの?」
「花宮を攻略できたら、どんな男でも大丈夫になるからな」
てっちゃんが真面目な顔でそう言うからちょっと笑った。
「だから俺から花宮について教えようと思ってな」
「ありがとう」
てっちゃんも私が前に進めるように手助けしてくれてる。
その優しさに、私の頬は緩んでしまうのだ。
「まず、花宮は猫を被ってる」
「しかも花宮はとても頭がいい」
「あと甘いものが苦手らしいな」
「それと、俺の膝が壊れたきっかけになった奴だ」
そう、だったんだ。
てっちゃんの膝が壊れた時、私は泣き叫んだ。
私の代わりに、私の分まで背負ったてっちゃんのバスケが壊されてしまった。
でもてっちゃんもリコちゃん達も相手について教えてはくれなかった。
きっと何もかもを失った私が何するか分からなかったからなんだろう。
それにてっちゃんは自分が違和感を放置したから悪いんだって言っていた。
だから私はそれ以上追究しなかった。
だってそれをしてしまえばてっちゃんの負担になってしまうと知っていたから。
そんな男を、今度は私が利用してやろう。
私が立ち直るために。
多分、花宮くんと仲良くできたなら自分に自信が持てるようになる気がする。
「私、頑張るね」
「おう!でも無理はしないでくれよな」
「うん!」
てっちゃんが拳を差し出してきた。
私はそれに自分の拳を合わせた。
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