「今日の練習終わったら暇?」
「暇やで」
「ケーキバイキング行かない?」
「ええよ」

由奈からの誘いに乗った。
練習の後となると例の女バスの先輩も自分が由奈と二人で帰る所を目撃することになる。
そうすれば多分先輩は由奈に何か仕掛けるだろう。
あの先輩は何しでかすかわからない。
でもまあ、由奈にそれほどの被害が及ぶとは考えられなかった。

「おじいちゃんがね!無料券当てたんだよ〜!」
「凄い運がええおじいさんなんやな」
「そうなの!楽しみだなぁ〜早く行きたいなぁ〜!」
「そう焦らんでもええやろ」

教室でスキップし始めた由奈を見て笑った。
スカートがヒラヒラ揺れていた。
由奈はスキップしながら自分の席に戻っていった。
そんなに楽しみにしてくれてるんや。
かわええなぁ。
自分の好きなタイプと正反対なのにこんなにも愛おしく思えてしまうのは何故なんだろうか。

「由奈って今吉くんと付き合ってんの?」

教室内の女子のその一言に由奈は止まった。
クラスのザワザワとした喧騒の中、その声だけがやけにハッキリと聞こえた。

「…つ、付き合ってない……」
「由奈と今吉くん凄い仲いいじゃん!付き合っちゃいなよ〜!」
「無理だよ…」
「何で?!今吉くんと話してる由奈、凄い楽しそうだよ?」
「だって私しっかりしてないし…気配り何てできないし…自分のことだけでも手一杯なんだもん…」

由奈は少し下を向いていた。
ワシのタイプじゃないから凹んでんのかいな。
本当に、そういう所がいじらしいと思うのだ。

「今吉は、私がバカ過ぎて世話をしてくれてるだけだから…」

由奈が泣きそうになった所で女子が由奈を励まし始めた。
好きでもない奴の誘いに乗る訳ないやろ。
それに好きでもない奴の世話なんて焼いたらんわ。
ホントにアホやな。





 

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