今日は入学式翌日なのだが、実力テストがある。
何とも忙しい学校だ。
昨日の帰りにお気に入りのシャンプーとコンディショナーとヘアアイルを買ってもらった。
それとボディーソープと美白化粧水とリップクリームやら。
兎に角最低限これまでの私が使ってきたものを買ってもらった。
お母さんは相当渋ったが、綺麗になりたいと言うと少し笑って納得してくれた。
お気に入りの香りに包まれて、朝から私は幸せな気分に浸っていた。

「あれ、菅田さん凄いいい香りがするっス」
「気付いた?私このヘアオイルの香り凄い好きなの」
「昨日はしなかったのに」
「まあ、昨日はバタバタしてたから」

色々ね。
流石モデル。
こういうのには敏感なんだな。
教室を見まわすと黄瀬君以外にもう一人派手な髪色を見つけた。
昨日壇上に立っていた赤司君だ。
生徒代表だから昨日はいなかったんだなと納得した。

「いきなりテストとかやばいっス…オレ何も勉強してない…」
「まあ大丈夫でしょ。気楽にやろうよ」

黄瀬君とそんな話をしていると始業のチャイムが鳴った。
テストか。
そんなの受けたのはもう何年前なんだ。
確かに私も何の勉強もしていないが、一応高校までの範囲はうっすら覚えている。
だから、多分大丈夫だ。

先生が教室に入って来て受験時の注意事項を説明する。
ああ懐かしいな。
こんな感じだっけ。
それからテストが配られて、開始となった。
私は問題を見て驚いた。
簡単すぎるでしょ。

テストを10分弱で終わらせて見直しをした。
正直間違える要素が見つからない程満点の自信があった。
それからは頭の中で好きな曲をリピートしたり化粧をどうしようかなんて考えた。
女子中学生をやり直せるなんて思ってもみなかった。
折角だから私の考える最高の女子中学生を漫喫してやろう。



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