夏の日差しというのは厄介だ。
二度目の人生では日焼けしないと決めた私にとってそれは天敵であった。

勉強の方は相変わらず楽だった。
あまりにもやることがなかったから高校生の範囲を勉強することにしている。
無事中間テストも一位を取った私は少し高めのボディークリームを買ってもらって大満足だった。
もうすぐ期末テストがやってくる。

マネージャーという仕事は思っていたよりも楽だった。
私にこの部活を紹介してきた彼女は仕事に着いて行けず辞めたようだ。
帝光中のバスケ部は一軍から三軍まである大所帯である。
私は二軍と三軍を担当していた。
洗濯やボトル洗いやドリンクの準備などの仕事は普通に家事をしてきた私には朝飯前であった。
だから空いた時間で少しバスケを見学したりしていた。
彼等はまだ中学生だ。
だからこそキラキラしていて、眩しかった。

「菅田さん」
「黒子君お疲れ」

影が薄い黒子君と話すようになったのは最近のことだった。
練習で体調を崩すことの多い彼に接する時間が増えたのだ。
ボトルを渡すと黒子君は少し微笑んだ。
彼は最近練習後も自主練をしているらしい。
そんなひたむきな姿を知っているとどうしても応援したくなるのだ。

「菅田さんは本当に手際がいいんですね」
「ありがとう。こういうの慣れてるからやりやすいのかも」
「そうなんですね」
「じゃあ後半も夜も頑張ってね。応援してる」

黒子君に別れを告げて他の部員にも必要なものを手渡していく。
タオルを受け取って洗濯機に入れた。
その間に部室の掃除も済ませてしまった。
時間がかなり空いたから外の水道で水を飲むと、別の体育館から一軍の様子が見えた。
その中には教室で見る赤いクラスメイトもいた。
やはり一軍というのはレベルが格段に違うらしい。
激しい動きと遠くからでもわかる迫力に思わず魅入った。

中身はアラサーの女が中学生の部活動に魅入るなんてね…
回りが若いと自分までもが若くなってしまうのだ。
ふと赤司君と目が合った気がした。
私は特に微笑むこともなく彼を見返した。
綺麗な赤い目。
まるで自分を殺した血の色だ。




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