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「悠里淮斗役の廣瀬大介さん、クランクアップです!おめでとうございます!お疲れ様でした!」
「ありがとう、ございます」
拍手と明るい声に、無理矢理笑って、お礼を言う。
深々と頭を下げる。ああ、このまま、崩れてしまいそうだ。
終わり、か。
気持ちがいっぱいいっぱいだった。
悠里淮斗という役に飲み込まれる、嬉しいけど苦しくて、喪失感がどっと鉛のように降り注ぐ。
「廣瀬くん」
ふわりと優しい声に顔を上げる。
大きな花束を持った名前ちゃんが「お疲れ様でした」と微笑む。
名前ちゃん、と声にする前に、彼女の肩口にもたれるように崩れ込んでしまった。
彼女の髪の香りと、花束の香りがじんわりと僕を包む。赤ちゃんをなだめるようにゆっくりと背中をさする温もりがサクラの厚いコート越しでもわかった。それがなんだか、ぐちゃぐちゃの感情をゆっくりと解いてくれてるみたいで。
目を閉じた時、悠里が白崎と一緒に、色とりどりの花が並べられた店先に立つ彼女に、ただいまって言っているシーンが頭をよぎった。
ぷつん、と糸が切れる。
「おちついた?」
「ごめん、だめだめだなあ、」
「そりゃああんなしんどいシーンとった後だもん。放心するよ。」
「名前ちゃんもうとっくにクランクアップだったのにどうして」
「サプライズ」
「そう」
どのくらい彼女に膝枕をされていたのだろう。燈くんが笑ってたよ、と知りたくない情報に思わず顔を覆う。
「ほんとはね。撮影が終わって、わたしの中であの子が消えちゃうのが、怖いなって、ずっとおもってて。でも、わたしはわたしだから。わたしはあの子じゃないから。いつまでも引きずってないで立ち直らなきゃいけないんだけど。
でも最後にね、白崎と悠里のシーンを見るとき、わたしはどっちの気持ちになるんだろうって。白崎と悠里を見守っておきたいとおもって。あの子ならそう思うかなって。だから、こっそり観てたの、撮影。」
依存してるのはわたしのほうだよ。
ぽっかり空いた穴を埋めるように唇を重ねる。
永く、深く。その穴にゆっくりと蓋をするように。
じわじわと染み込む体温にに全身を委ねるように、解けるように、縋るように細い指に指を絡める。よかった、一緒だ。それだけで鮮やかで優しい世界にいる気持ちになれる。確かめるように何度も何度も。
「大丈夫だよ、2人で一緒に、幸せになろう」
カット、と監督の声が聞こえた