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「瑞希ちゃんて絶対音感?」

柔軟体操をしながら山下くんが瑞希さんに問う。

「的確にあわせてくるな〜って思って」
「絶対音感ではないけど、SolidSでハモりやることが多いから慣れてるってのはあるかも。」
「なるほど」

ツキノプロダクション系の今度のイベントで、グループのメンバーシャッフルを行うことになった。GrowthにはSolidSから瑞希さんが参加することになって、今日からレッスンがはじまったのだが瑞希さんは完璧だった。むしろ持ち歌の僕らのほうが怪しいんじゃないかってくらいだ。

「瑞希さんの高音聞きやすいし合わせやすいからもうGrowthの正規メンバーでいいと思います」
「たしかに。自分でもそう思います。」
「ぶっちゃけどっちがいいの?」
「SolidSはキーが低いからね。高すぎると浮くし、何よりも高音は花江くんのお仕事だからさ。塩梅が難しいよね。」
「そういえばそっちにはだれが来ることになったの?」
「SOARAの豊永さんか小野さんとQUELLの西山くんが濃厚みたい。まだ調整中なんだって」
「ウワ〜すごい、喰われる、強い」
「きっとだれかは女装するとおもうよ」

ハハハと笑いながら柔軟をする瑞希さんは悠々と床に身体をつけた。

声優としてすごいことは十分知っている。あのSolidSでの存在感、コンスタントに主役級の役を手にしている実力、幅広い活躍フィールド。苦手というラジオやイベントですら出るたびに話題を集めている。
顔良し、声よし、センスよし。それにテレビの中のモデルってかんじのオーラ。これぞ人気声優!の化身ってかんじかと思いきや、話してみると案外普通のひとだと思う。
このレッスンが始まる前、山下くん以外まともに絡むのが初めての僕らに対しての第一声が
「都築くん、きょーすけ、キリオにゃんに、大河くん、だよね?」だった。顔も名前も声も一致していた。
「サイドM好きなんです。嬉しくて」とはにかんでくれたが嬉しいのはこっちのほうだ。一気に肩の力が抜けた。それからGrowthのこととかそれぞれのことをはなしたりしてレッスンはおしまい。
瑞希さんは収録があるから、と颯爽と帰って行った。

「やばい、男前だ」
「同意」

唯一瑞希さんと元から仲がいい山下くんだけがケラケラとお腹を抱えて笑っていた。