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「二人してそんなくっついて何してるの」
「みる?」
「元気になるよ」

うめちゃんのスマホから笑い声と歌声(?)と何かを叩く音が聞こえる。怪しすぎる。
眉をひそめながら覗くと、「昨日江口さんちで飲んだ時の、酔っ払ってる、花江くんと壮馬くんと江口さん」と瑞希ちゃんが付け加えた。

「元気になるでしょ」
「いや、ならないでしょ」

開演も近いというのに、瑞希ちゃんはマイペースにおにぎりをあける。パイプ椅子の上で体育座りをしていて器用だなあと思うと同時に、こんなにリラックスしてるのなんか新鮮だなって。そんなにたくさん一緒に仕事したわけではないけど。

「おにぎりあけるの下手すぎ」
「えー、のりちゃんと巻けてるよ」
「貼り付けてるっていうの、それは」

向こうから「瑞希〜はやくメイクしなさい!」と壮馬くんが叫んでる。

「久保呼ばれてる」
「もうちょっとこれみてたい」
「はやく行かないとMCのネタにされる」
「行きます、今行きます!」
「SolidSそんななの?」
「そうだよ〜わたしたちはすぐMCモンスターの餌食になるから。ってことで梅原くんこれあげる」

よっぽど恒例なのだろうか。青ざめた瑞希ちゃんは気をつけてね、と僕に哀れみの目を向ける。
さっき開けたばかりのおにぎりをうめちゃんに押し付けて壮馬くんのほうにかけていく彼女の背中を見送る。

「江口さん、おにぎりあげます」
「は?今?」
「のりがもうしんなりしちゃってる」

ちょうど入れ違いで楽屋に戻ってきた江口さんに、半ば押し付けるようにおにぎりを渡すうめちゃん。困惑顔の江口さんに、どこか満足そう。

「これ、あいつ?」
「カバンにあと二つ入ってましたけどいります?」
「いやいや、本番、もうすぐ本番だから」

いたずらっ子のようなうめちゃんはいつものことだが、ため息をつきながらも嬉しそうなパイセンは、いつもと違って少し余裕そうだった。

「いらないなら野上にあげます」
「えっ、俺?!」
「食べる食べる」

とんだとばっちりを受ける野上くんに心から同情した。