■ ■ ■
控え室で居眠りしていたら突然肩を叩かれた。
慌てて振り返ると村瀬くんがにっこり笑う。
「さっき八代が探してたよ」
「八代くん?」
「そう、八代拓」
次の収録のことかな、とぼんやり考える。スマホをちらりとみてもLINEは入ってない。なんだろう。いいや、八代くんだし。
伸びをするとバキバキと骨が鳴った。
「食べる?目さめるよ」
ミント味のガムを差し出されてありがたく受け取る。どうにも眠気がさめない。自然に次の休みはいつだ、と脳が嘆く。
「今日缶詰めなの?」
「そんなかんじ。頑張れない」
御愁傷様〜と我関せず、台本をめくり出す村瀬くん。机に突っ伏したままその様子を伺う。
「村瀬くん、一生のお願い」
「なあに」
「桃李ちゃんの声で激励して」
「奴隷2号、さっさと仕事してよね!」
「すごい、よくそんなすぐ出るね」
「どっかの誰かさんがしょっちゅうせがんでくるからね」
「ひえー」
「早く帰って休んだ方がいいと思うよ」
キャラが崩壊してる、と呆れられた。