■ ■ ■

秋に差し掛かり、気温が一気に下がったのを肌で感じる。この間風邪を引いたばかりなのに、早くもくしゃみが出た。

こたつ、そろそろ出すべきかな。


「寒い……」

「喉、大丈夫?」

「ん、大丈夫。飛鳥は?」

「へいきー」


むしろ調子がいい。


積んである台本の背表紙をなんとなく眺める。今回もたくさんお仕事頂いて、本当に有難いことだ。いちばん上に置いてあった話題作の2期の台本を取ってぱらぱらと流し読みをする。叫ぶシーンも多いし、このまま喉は温存したい。

隣に座ってテレビを見ていた壮馬くんが何気なく、口を開いた。


「あのさー」

「んー?…あ、ちゃんと聞いてるよ」

「そろそろ一緒に住まない?」

「うーん。……ん?」


ぽかん、と壮馬くんを見る私をそのままに、言ったあともテレビから視線を外す様子はなかった。


「そうっ、そうまくん……え?」

「もう同棲してるようなもんだけどさ、ちゃんとしたほうがいいかなって」

「う、ぁ…えっと、い、いいの…?」

「なんで?」


しごく当たり前のように言い放った。嬉しくて、それからちょっとだけ照れくさくて、なんとなく少し離れると何で離れるのと腕を掴まれた。

たしかにほとんど同棲しているようなものだったけど改まって言われると、こう、恥ずかしい。

あ、だめだ。やっぱり顔見れない。

視線を逸らした私に壮馬くんは「飛鳥とこの先のことも考えていきたいから」と微笑した。
それって、もしかして、そういうことでいいのかな。期待、してしまいそうになる。


(本当に、)


「本当に、私でいいの……?」


心臓が早鐘のようにどくどくと音を立てて動いている。こみ上げてくる感情がごちゃごちゃと乱雑で、倒れそうだ。

ああ、もう、こんな気持ち初めてだよ。


「じゃなきゃ言わないよ」

「……ごめん、泣きそう」

「えっ、そ、それは駄目だ」

「だって壮馬くんがプロポーズ紛いなことするから……!」

「うーん、それはね、また今度ね」


その言葉でぶわりと涙が溢れたのは私のせいじゃないと思います。

慌てる壮馬くんが面白くてつい笑ってしまって、終いには壮馬くんまで意味なく笑ってしまうのだった。

なんだよこれ、バカップルかよ。
あーあー、はずかし。