■ ■ ■

壮馬くんが突然、スマホ貸してと言ってきたので素直に渡すと「暑さにバテてます」という内容と共に前髪をピンで留めてアイスを食べる私の写真がツイッターに投稿されてしまった。ちなみに今の姿である。


「急に写真撮ったと思ったら……」

「いやあ、暑いよねってみんなに伝えたかったんだよ」

「自分のブログで書きなさい」

「それはそれ、これはこれ」


なんてこった、と気の抜けた返事しか出てこなかった。暑すぎて思考がゆるむのは本当によくないと思う。


「……っはは。みんな壮馬くんですか?って」

「おお、すごいな。さすが飛鳥ファン」

「壮馬くんも自撮りあげれば?」

「え?飛鳥が撮ってくれるんじゃないの?」

「あっ、そういう……」

「はい、撮って撮って!」


仕方ないなあ、とスマホを向けるとドヤ顔の壮馬くんが写る。うーん、相変わらず顔がいいなこの人。何枚か撮って選ぶことにしよう。……選べるかな。


「壮馬くんってかっこいいんだね」

「素直に喜べないのは何故だろう」

「褒めてる褒めてる」

「いつもかっこいいって思っててよ」

「思ってるよ」

「えっ……あ、ありがとう」

「かわいいなー、撮っちゃお」

「飛鳥さん、テンションおかしくない?」


しょうがないよ、暑いんだから。


「最後。はい、撮っちゃいまーす」

「はーい」

「……あ、ごめん。動画になってた」

「え〜?」

「せっかくだからなんか言って!」

「飛鳥さんが暑さでハイテンションでーす」

「それ以外は?」

「え?ないよ」

「え!面白いこと言ってよ!」

「さっきのアイス当たりだよ」

「え?本当に?……ハッ、本当だ」


当たりだったことに嬉しくなり、撮っていた動画を終わらせる。当たり棒越しに壮馬くんを見ると「交換しに行く?」と笑っていた。

大人だとか関係ない。当たったならば交換しに行くのみ。


「外暑いけどいいの?」

「壮馬くんはやく!行くよ!」

「ふふ、わかったわかった。行こっか」

「半分こしよう」

「いいの?」

「もちろん」


壮馬くんとアイスを分け合いながら家に帰ると、先程撮った動画をツイッターにアップする。恐るべし壮馬くんパワー。リツイートといいねの数が半端じゃない。

交換してもらった2本目のアイスはさすがに外れだったけど、壮馬くんと一緒に食べたアイスはなんだかいつも以上に美味しく感じたのだった。



「みんな壮馬くん大好きだね」

「そこじゃないと思う」

「え?」