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頼まれごとを受けたことだし、早速老爺に案内をしてもらった。
目の前にある扉はどうやら普通の物だし、話に聞くところによるとここに住んでいるはずなのは母親と娘、二人きりの家族らしいが。

「苗字さーん、居るかい?大家の物なんじゃがのぉ。」

俺に状況を見せるためにいつものように声をかける老爺。しかし中から返事はしない。

「ほれ、この通りなんじゃ。」
「なるほど。確かに人がいるか怪しいな・・・。」

試しに扉をたたいても返答は無し、ノブを回しても鍵がかかっているようだ。
一階だし、ドア以外からも外から出ることができる。夜逃げなんてことがあるんじゃあないだろうか。ぽつりと俺の思惑を言うと、老爺は首を横に振る。『そんなことをするような者じゃない。』老人はその母娘について話しだした。

「二人とも礼儀正しくての、会えば挨拶は毎回してくれた。母親は幼い娘を抱えて仕事も大変だったろうに近所の掃除も率先してやっていたんじゃ。女の子もいつも笑顔で・・・母親をよく手伝っていたし、心がきれいな子だった。居なくなるならなるで一言くれると思うんじゃよ。」
「ふむ。」

確かにその話が本当だとすれば、この状況はもっと怪しいものになる。
最悪・・・密室殺人かいや、しかしそんな親子なら殺されるような恨みを買うはずもない。それこそ俺達ギャングに関わっていなければ、だが。
さっき聞いた名前を記憶から探したが、同じような名前の組員や今までの敵は覚えがなかった。それに、ここらでは聞かない名前だ。大方、アジアの方の名前だろうか。

なおさら関わっている可能性は大分低いと思うのだが。

「鍵をさしても不思議なことに開かないんじゃよ。だからブチャラティにたのんだんじゃが・・・。」
「わかった、俺が中を見よう。万が一があっては危険だ、貴方の家に戻っていた方がいい。」
「ありがとう、わしの家は向かいの通りの正面にあるあの赤い家じゃ。何かあったら来てほしい。」
「ああ。」

俺にもう一度礼を言ってから、老爺はゆっくりと自宅へ向かっていく。
老爺が家に入るのを見届け、俺はスティッキー・フィンガーズを出した。

「小窓すら開いていない・・・。本当に密室殺人か?それとも心中か。」

普通の窓から小さな小窓まで見てみるも、カギはすべてしまっている。ホテルのようなオートロックではないし、夜逃げの可能性は完全に(親子がスタンド使いでなければの話だが。)無くなったといってもいいだろう。中を覗こうとしてもカーテンが締まりきっていて。隙間から少しも中をうかがうことはできなかった。
扉を乱暴に蹴ってみるが、変な音を立てるだけで開く様子はない。

・・・しかたない、無理やり入るしかなさそうだ。