「別れよう、及川くん。」




その言葉を言うと、及川くんはとても衝撃を受けたようだった。





「今、なんて、」


「別れよう、及川くん。」


「そんな、俺、」


「別れよう、及川くん。」


「え、あの、」


「別れよう、及川くん。」


「もういいよ!オウムかよ!!」



聞き返したのお前やないかーい!


及川くんはまだ信じられないという顔をしている。もう一回言った方がいいのかな。



「なんで、そんな、突然・・・。」



私は突然ではないんだけれどもね。


だって浮気現場を見たのは昨日で12回目だったし。流石にね。



「ということで、私たちは今日から解散です。」


「ちょっと待ってよ!」



な、何故・・・?



「そんな、まだちゃんと話聞いてないよ俺!」


「話すことなどない。」


「あるよ!」



胸に手を当てて考えるのよ、及川徹・・・。そう、思い当たる節が、あるはずよ。


それで十分。話すことなど・・・ないわ・・・。



「女神のささやきが聞こえないのかな。」


「名前ちゃん何言ってんの?!」



女神のささやきは、私にしか聞こえていないらしい。

そこのイケメンにも囁いてください、女神様。彼もきっと、目が覚めることでしょう・・・。



「クッキーは?この前のはフェイントだったの?!」


「どこをどうやったらクッキーの話にたどり着くのか私にはわからないゾ〜」


「この前くれたじゃん!!」



クッキー。

私と及川くんが付き合いたてのころ、私は彼にクッキーをプレゼントしたことがある。


私は特に作りたいという気持ちはなかったんだけど、友達が『開始早々倦怠期みたいなこというんじゃないよ!』と言ってきたので作ったのだ。


私は及川くんが初めての彼氏だったから、『カレシカノジョってこういうことするんだ〜。』ぐらいの気持ちだったけど。


でも、渡したときに及川くんはすっごい喜んでくれて。私が初めての相手じゃないはずなのに。


あの時は、うれしかったなあ。




「いやしかしあの時と今とでは大分違う・・・。」


「本当にお菓子じゃないの?ドッキリとかじゃなくて?!」


「私そこまでクズなドッキリしかけないよ。」




及川くんは、相当信じられないみたい。

なんでかわかんないけど。だって、私が気づいてるの知ってるはずだし。


及川くんがまだゴチャゴチャいっていると、バレー部の後輩くんが彼を呼ぶ声がした。


部活が始まるころだ。



「じゃあ、解散「部活終わったら、ちゃんと話しようね!?待ってて!!」・・・」




やれやれだ。


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