◎第3話
公園に突然現れた女は今まで無敗だった俺の個性を簡単に破った。そんで俺の心配までしやがった!
これは許しがたい事態である。その日俺は泣きながら誓った。
「…………ぜってーまかす!!」
次の日から暇さえあればアイツに勝負を挑んでは逃げられる毎日。それに加えて大人びているところが余計に腹立つ。クソが!
俺は今まで以上に勉強した。戦略を立てるためだ。正面からぶつかってはアイツの"盾(シールド)"に阻まれるだけだ。
「おいデク!!」
「ひぃ何かっちゃん!?!?!」
一番近いデクを捕まえて情報を仕入れた。
「勝己何やってんの!出久いじめないで!」
「チッ!黙れクソブス!」
毎回毎回すぐにアイツがきてたいした情報得られなかったけどな。なんで弱っちいデクなんかかばうんだよ!無個性のデクなんか放っておけばいいのに。何故かデクの家族になったアイツはずっとデクに引っ付いていた。詳しいことは教えてもらえなかったし幼い俺には分かんなかった。ただ俺ん家にくれば毎日戦えんのになんて思ってた。
そしてついに、
「…………勝った。」
最強の作戦を携え挑んだ勝負で俺はようやく勝利を手にいれた。もうアイツに出会ってから5年が過ぎていた。俺はこんなにコイツに勝てなかったのかと思うと腹立つが今は勝利を喜ぼうじゃねぇか!これで俺は、最強だ!!
名前はポカンとしかながら俺を見上げる。
「勝己、すごいね。」
「当たり前だろ、俺は最強なんだから。」
まぁお前も強かったけどな。やっぱ俺には敵わねぇんだよ。俺はオールマイトを越えて一番になる男なんだからな。踏み台になれたことありがたく思え。なんて思ってたらこいつはヘラリと笑いやがった。
「なんか、勝己かっこいいね。」
「はぁ?!」
今まで何度だって言われた言葉に胸がこそばくなった。デクになんかずっとかっちゃんかっこいい!って言われ続けてたのに、なんで今さらコイツの言葉にだけなんでだ。
結局その後ババアが来て火傷させたことを怒られ責任とれとまで言われたがそんなことはどうでもいい。家に帰っても笑顔のアイツが頭の中でかっこいいと言っていてその日は眠れなかった。
だが数日たって責任をとると言う事態に改めて気づく。俺、アイツと結婚すんの?あれ、あんま嫌じゃねぇな。悪くねぇ。俺のことかっこいいって言ってたしアイツも満更じゃねぇんじゃね?
「なっちゃん治ってよかったねー。」
「みんな心配しすぎだよ。」
アイツの傷は綺麗に治ってこの話はうやむやになっちまった。でもキャーキャーうるさいモブ女共よりもアイツの方が何百倍もマシだしな。うん、アリだな。
そんなことを思った時期もあった。
あれから特に何もなく俺は中学生になった。
忌々しくも同じクラスになったクソナードがチラチラ視界に入ってうぜぇし、そいつを迎えにくるアイツもうぜぇし小学生の頃と何も変わんねぇ。あーうぜぇ!!
「緑谷、なんかいいよなぁ。」
「分かる!可愛いよな!」
「はぁ?」
デク、のことは違ぇしあり得ねぇし、じゃあ名前のことかよ?!アイツが可愛い?!どこが?!ギャンギャン吠えてくるだけの女じゃねぇか!!
「勝己幼馴染みなんだろ?いーよなー。」
「どこがだよあんなのうるせぇだけじゃねぇか。」
「やっぱずっといるとわかんねぇのかなぁ。緑谷他の女子と違って大人っぽいけど顔はけっこー可愛いし。」
とりあえずアイツの顔を考えてみる。
………………駄目だ吠えてるとこしか思い出せねぇ。あ、でもあの時の
『なんか、勝己かっこいいね。』
あんときは笑ってたな。そんときは確かに…………
「勝己どうしたんだ?顔赤いぞ?」
「うっせ!なんでもねぇよ!帰る!」
可愛いなんて思ってねぇ!!
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