◎身体は離れても
出逢いは偶然で
別れは必然
分かりきったことだろ。
この世は残酷なんだ。
第四話
俺たちが出会ってから3ヶ月が経った。
よく今まで見つからずにきたと思う。
「このまま薫がこの家を出るまでこうして一緒にいられるといいな!」
「そんな簡単にいくわけないだろ。」
でもまぁ、そうなればいいとは思っている。この時間がずっと続けばいい。
「…………薫。」
玻璃がぎゅっと俺にしがみつく。やはり神は俺がそうとう嫌いらしい。
「時間切れみたいだな……。」
長かったような短かったような3ヶ月だったな…。
すっと玻璃が俺から離れるのと、ガタンと大きな音を立て扉が開くのは同時だった。
「姫様!白鬼姫様!ここにいらっしゃったのですね!」
従者であろうものが慌てて名前に走り寄り、俺を睨む。
こいつもそうだ。俺を汚い物を見るような眼で、蔑むような眼で見る。
「姫様!何故こんな汚ならしい所にいらっしゃるのです!?もしやこの小僧が姫様を連れ出して……」
「うるさい黙れ騒ぐな。」
キンと凍りつくような冷ややかな声が響く。
玻璃の顔はいつもの無邪気に話していた時からは考えられないほど無表情で冷たかった。
「散歩していてたまたまここを見つけただけだ。こんな汚い童など私は知らぬ。
それとも何か?お前は私に楯突こうというのか?」
「め、滅相も御座いません!!ただ私めは姫様が心配で……!」
玻璃は頭を地面に擦り付けている従者には眼もくれずに俺に近寄ると胸ぐらを掴み上げた。
「お前達はこんな汚い童を私の屋敷に置くつもりか。」
「も、申し訳ありません!」
たかが十歳ほどの子供相手にここまでへこへこする必要があるのかと思うほどここの従者は玻璃に服従している。普段この小さな娘がどんな政治をして家を束ねているのかが窺えるが、俺には想像出来なかった。
「こいつはこんな扱いをするより利用する方が利益が出る。憎らしくも顔は良いのだ。なら女の格好をさせて男の相手でもさせておけば無駄にはならぬだろう。」
一瞬卑劣だと思ったがそうすれば南雲家の縛りはあるとはいえ、外に出られるのだ。千鶴情報も集められるしこの家を脱け出す準備も出来る。玻璃はきっとここまで瞬時に考えて言っているのだ。
そしてその真意を俺が理解すると信じているのだ。
「は、はいぃぃぃ!」
従者が怯えながら返事をすると玻璃は一端俺を自分に引き寄せ、壁へと投げ飛ばした。
「っ!!」
背中の痛みに顔が歪むがすぐに玻璃を見るがすでに俺に背を向け、扉の外まで出てしまっていた。
「…………っ!」
名前を呼ぶことは許されない。
呼び止めることも出来ない。
玻璃は扉が閉まる最後の最後まで一度も振り返らなかった。
独りになった部屋の中でさっきの言葉を思い出す。引き寄せられた時に玻璃消えそうな声で言った。
「ずっと待ってる。」
あぁ、必ず迎えに行く。
身体はは離れても、
心はいつも側にいる。
ーーそして幾ばくもの年月が流れた
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