◎小さな名探偵と少年探偵団と受付嬢


「あ、」
「どうしたの?」
「あぁ、いや、知り合いがいたから。」

名前さんだ。この辺住んでるって言ってたけど本当に近所なんだな。休日に出会うなんて。
なんて思っていたらサッカーボールが名前さんに向かって転がっていくではないか。キャッチした名前さんにとりあえず手を振っておく。

「コナンくんあのお姉さんと知り合い?」
「お前の知り合いお前年上のねぇちゃんばっかだな。」
「コナンくん年上好きですからね。」
「へぇ、そうだったんだ。」

にやにやと笑いながら名前さんが近づいてくる。年上好きじゃなくて実年齢と年近い人の方が仲良くなるに決まってんだろが。断じて違う。灰原の冷たい視線なんて知らない。

「君たちサッカーは結構だけど道路の方にはけっちゃだめだよ。」
「すみませんでした…。」
「ひろってくれてありがとう!」
「ねぇちゃんも一緒にサッカーやらねぇか?」
「こら元太。名前さん用事があって外出てんだろ。」
「用事なんて特にないよ。暇だから散歩がてらポアロのサンドウィッチ食べに行こうかなって思ってただけ。サッカー混ぜて混ぜてー。」

相当あのハムサンドにハマったんだな…。
てか小学生のサッカーに混ざる名前さん、本当見た目とのギャップがすごいな。運動とか苦手そうなのに。

「名前お姉さんっていうんだね!吉田歩美だよ!」
「僕は円谷光彦です!」
「俺小嶋元太!」
「こちらは灰原哀さんです!」
「コナンもあわせて俺ら少年探偵団なんだぜ!」
「へぇ。」

あまり話についていけてないようだ。きょとんとしている。

「名前さん!サッカー、しようよ!」
「う、うん!するする!」
「歩美お姉さんと同じチーム!」
「なら女子男子で分かれようか。」
「私パス。」
「えーじゃあこっちが1人少ないよー。」
「大丈夫。女の子が強いってことを証明してあげよう。」

泣きそうな歩美の肩を叩く自信満々の名前さん。まぁ謎だらけの名前さんの一面を知るいいチャンスかもしれないな。なんて、

「嘘だろ。」

邪魔してくる元太や光彦を軽やかなターンでかわし、そのまま見事なドリブルでゴールまで。

「ねぇちゃんすげーな!!」
「上手ですねー!」
「お姉さんかっこいい!!」
「ありがとー。球技は結構得意なんだー。」

はっはっはと豪快に笑う名前さん。ほんと、この人顔と性格が合わない。

「江戸川君。彼女、何者なの?」
「ただの警察庁の受付嬢、なはずなんだけどな。」

それだけじゃない気がするんだよな…。かと言って組織の人間って訳じゃねぇしな。

「じゃあもっかいやろーぜー!あっ!!」
「もー元太くん何やってるんですか!」

元太が高く蹴り上げてしまったボールは木の枝に引っかかってしまった。しゃーねーな。キック力増強シューズで木を蹴って…、

「ちょっと待ってて。」

そう言って名前さんはひょいひょいと木を登ってあっという間にボールへたどり着いた。ほんと、運動神経いいんだな。

「江戸川君、いいの?」
「何が?」
「彼女スカートよ。」
「名前さん待って!!」

(元太たち下で見てんぞ!って気にしてないかいや気にしてくれよ)



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