◎小さな名探偵と受付嬢
「さぁやるぞー!」
名前さんってこんな人だっけ。すっごいテンション高いんだけど。
「コナン君なんでそんなに冷めてるの。」
「いや、名前さんのこんな姿初めて見たから驚いて。」
むくれた顔は可愛いけど虫取り網とカゴ持った20代がやってもどう反応していいか困るからやめてほしい。
少年探偵団with阿笠博士vs名前さんだったのになぜ俺が名前さんと行動しているかというと名前さんが1人じゃさすがに不利だと言い出したからだ。
「こんなに大勢いるのに私だけ1人とか寂しすぎるでしょ。」
そんなキャラじゃなかっただろ。
まぁそんなわけで一番交流のある俺が抜擢されたわけだ。
「コナン君届く範囲でいいからクヌギに蜜塗っといて。私向こう塗ってくる。」
「分かったー。」
名前さんは子供扱いしないから一緒にいて楽だ。正体がバレたわけじゃないけど何か感じ取っているんだろうか。限りなく白なんだけどな。赤井さんと調べた経歴に虚偽は見当たらなかった。もし組織の人間なら相当の手練れだな。まぁないだろ。
「ん?あれ…。」
蜜を塗りながら歩いていると前の茂みに男の人が何かごそごそしていた。こっそり後ろからのぞいてみると下にあったのは、大量の宝石。まじかよ。どう見ても身なりからして本人の物ではないし、焦っている様子を見ると宝石強盗に間違いないだろう。やっぱ俺呪われてんのか?こっそり博士に連絡を入れて警察に通報してもらう。これであとはこいつを見失わないようにしておけば、
「そこにいるのは誰だ?!」
嘘だろ…。俺が立てた音ではなく後ろに鳥が降り立ったようでそれにビビった犯人が振り向いてしまった。大人が立ってしまえば見えてしまうような茂みに隠れていた俺が悪いんだが。
「くそッ、ガキかよ!」
ジャケットの中に手を入れるとガチャリと撃鉄を下ろしながら銃を構える。
とりあえず麻酔銃で眠らせて、
「伏せろ!!」
名前さんの声が響いてとっさに伏せると背中から抱き込まれ視界が転がった。銃声が響く。
「大丈夫?」
「う、うん。名前さんは?」
大丈夫と笑う顔には一筋傷が出来ていた。銃創ではなさそうだからさっき転がった時か。しかし普通の女性が少年1人抱えて横に転がり発砲を避けるとか、
「普通じゃないだろ…。」
「コナン君、この人知り合い?」
「名前さん、」
「そんなわけないよね。あんたさ、何者か知らないけど子供に銃向けるとかありえないだろ。」
「うるせぇ!!面倒が増えちまったじゃねぇか!」
そう言って犯人はまず名前さんに銃を向ける。名前さんは全く怯まず睨み返す。むしろその態度に犯人が少し怯む。
「なんなんだよお前!」
「私?私はただの受付嬢だけど。」
「そんなわけにゃぁ…」
おかげで狙いやすくなったけど。
「おぉ、勝手に寝た…。」
「おぉ、じゃない!名前さんなんであんな危ないことしたの!!」
「悪いけどその言葉そっくりそのまま君に返すよ。なんで1人で立ち向かおうとしたの。」
「それは対処できたから!」
「相手は銃持ってたのに?」
美人に凄まれると怖いな…。言葉に詰まると名前さんはため息をついた。
「私が離れたのが間違いだったね。まぁ最後はコナン君がとどめさしてくれたみたいだし、ありがとう。でももっと大人を頼らなきゃ。」
「ごめんなさい。名前さんも助けてくれてありがとう。」
「よし。じゃあ戻ろうか。」
(差し出された手を思わずとってしまった)
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