◎彼が彼女で、彼女が彼で
「これが150センチの…」
「これが190センチの…」
「「景色!!!」」
いつの間にか、気づいたらこうなっていた。
「へぇ…君ってこんなに低い目線の中で生きてるんだね。」
「月島くんすごいねこんなに高いんだね!これが頂の景色ってやつですね!」
「なんでそんな興奮してんの。
てかこんな状態でよく楽しそうにしてられるね。」
そう、私達はなぜか身体が入れ替わってしまったらしい。
そうこれは身長が低くていつも月島くんに貶されている私への神様からのプレゼントなんだわ!
「神様ありがとう!」
月島くんの目線が冷たいけど今の私には効かぬわ!
ふははははははは!!!!
「ねぇ僕の顔でそんなテンションやめてくれる?
死にたくなる。」
「なんとでも言えばいいわ!
今月島くんの身体は私のもの。好きなようにできるんだから!
そうだこのまま影山くんの家に行こう!有り得ないテンションで影山くんをほめちぎってやろう!」
「じゃあ逆に言うけど君の身体も僕の思い通りなんだよね。
さーて二度と人前に出れないような格好で外を練り歩いてや「ごめんなさい月島様。」分かればいいんだよ。」
くそっ迂闊だった。
せっかく日頃の恨みを晴らすチャンスだったのにそれは相手も同じだった。
2人で机を挟んで座り落ち着くとだんだん不安になってきた。
「ねぇ月島くん。」
「なに?」
「お風呂はともかくトイレどうしよう…!」
「やっと事の重大さが分かったか。」
月島くんはため息を吐き腕を組んだ。
「……腕組んでも全然胸が邪魔にならないんだけど。」
「ほっとけ!自分の身体は自分が一番分かってるわ!」
「下着も子供っぽすぎる。」
「死ね!」
「生きる。」
「うぜぇ!!
何さ月島くんだって楽しんでるじゃんか!!」
真面目な顔するからちゃんと答えてくれるのかと思ったのに何考えてんだよこの変態。
もう頼れるのは自分だけだ!
「教えてGoogle先生!」
「結局他人頼ってるじゃねぇか。
てかそんなもので出てきたら苦労しな「キタコレ!」嘘でしょ。」
「ほんとほんと。これ見てよ。」
スマホ(もちろん私の)の画面には他人と身体が入れ替わった時の対処法はありますかという知恵袋の記事だった。
「嘘臭い。」
「まぁ見てみようよ。私は一刻も早くもどりたい。」
「さっきまではしゃいでたくせに…。」
ぶつくさ文句を言いながらもケータイを覗き込む。
記事にはこう書いてあった。
とりあえず夢から覚めましょう。
「「使えねぇ!!」」
思わずスマホをぶん投げた。
私達はしっかりぱっちり起きとるわ!!最初にお互いのほっぺた全力でつねったわ!!
「神は私を見放した…!!」
終わった…。私の人生終わった…。
もうこれから私は男だと思って、月島くんとして生きていくのかな…。
そう思うと涙が出てきた。
「ちょっ、僕の顔でそんな情けない顔して泣かないでよ!」
「だってぇ…。」
べそべそと泣くと私(月島くん)が涙を拭ってくれた。
おぉ私が格好いいぞ。
中身が違うだけでこんなにも違うんだね。
「ごめんね月島くん。」
「はぁいきなり何?君が何かしてこうなったの?」
「そうじゃないけど…。」
もし入れ替わったのが私みたいなちんちくりんじゃなくて清水先輩みたいな美人さんだったらまだ生きる希望もあっただろうに。
「私だけかっこよくなっちゃってごめんなさい。」
「いや、意味わかんないんだけど。」
「だって私じゃもらい手いない…。」
若干引きながらもため息を吐いた私(月島くん)…めんどくさいや、月島くんが私引き寄せた。
「このまま戻らなかったら君が僕をもらってよ。それなら問題ないでしょ。
まぁ慣れるまで大変かもしれないけど2人ならなんとかなるんじゃない?」
顔は見えないけど多分真っ赤なんだろうなー。
なんか、なんとかなるような気がしてきた。
「うん、ありがとう。月島くんは私がもらってあげるよ。」
今度は逆に抱き締めると月島くんはすっぽりと腕の中に収まってしまった。
私ってこんなに小さかったんだなぁ。
「これからもよろしくね。」
「よろしく。」
こつんと額を合わせて笑った。
その瞬間視界が真っ白になり、再び戻ると目の前には月島くんの顔があった。
「も、もどった…?」
「……みたいだね。」
いったいなんだったんだろう。
とりあえず離れようとするとぐいっと後ろからの力がそれを許さなかった。
「さっきのやつ、まだ有効?」
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