◎バラの花束贈っていいのは二次元の住人だけだからさ
「これを受け取ってください。」
「断固拒否する。」
なぜこの人はイケメンなのにこんなにも残念なのだろうか。
バラの花束贈っていいのは二次元の住人だけだからさ
目の前の百本のバラの花束をひざをつき、差し出すこの男、新開隼人は私の事が好きらしい。
ちなみにここは休み時間の人が溢れる校舎の廊下である。
みんな見てみぬふりしないで。
「新開くん、私トイレに行くから退いて。」
「じゃあついてい「やめろ変態。」
「君の為なら変態だろうと犯罪者だろうとなろう!」
「既に変態だし犯罪者一歩手前だからね。」
「だってこんなの好きなんだろ?」
「リアルにはいらないんだよ。」
そう、私は少女漫画が大好きなのだ。
だから今まではベタなどシチュエーションに憧れていた。いつか王子様が…とまではいかなくても運命の相手が現れたらなとは思ってたよ。今までは。
「実際やられると駄目だね。あれはリアルでやるもんじゃない。イケメンでも許されることと許されないことがある。」
「新開なんかほっとけばいいだろォ。」
「ほっといて済むならもう終わってるよ!」
そりゃ最初告白された時はきゅんきゅんしたよ?!イケメンだもの!
でもなんで私を選んだのか分からなかったし三次元にあまり興味のなかったのでごめんなさいと断ったのだ。
しかし新開くんは諦めないとお決まりのバキュンポーズで私を撃ち抜いた。
それから悪夢は始まった。
毎日青春学園もののベタなシチュエーションをしかけてくるようになったのだ。
最初は周りの子からいいなぁ代わってよと言われたが今はみんな見てみぬふりだ。ひどい。
きっとファンだった子も東堂くんか真波くんに移ったんじゃないかな。
「もー荒北くんどうにかしてよー。」
「オレは知らねぇ巻き込「ヒュウ!これは妬けるな。」
「うわ出た。」
いつの間に来たんだ…って後ろから抱きつかないでくれますか。
荒北くんなんで引いてるんですか。引きたいのは私です。
「なぁ新開、コイツ好きなら困らせてんじゃねぇよ。」
つかの間の沈黙。
新開くんはポカンとしている。
え、何その反応。今まで喜んでると思ってやってたの?
「…………困ってた?」
そんな捨てられたら子犬みたいな顔しないで!
でもここでガツンと言わなきゃ平穏な高校ライフが…!
「み、みんなのいる前でいや、ひとりのときでもされたら困るよ。
どうすればいい分からないよ…。」
「そっか、ごめんな…。」
泣き笑いで新開くんは教室を去っていった。
「ねぇ荒北くん、私とてつもない罪悪感に苛まれてるんだけど。」
「同じく。」
あれから新開くんはパタリと何もしてこなくなった。むしろ廊下ですれ違ったら避けられる。
それを寂しいと感じる私はだいぶ絆されていたらしい。
でも私が謝るのもなんか違うしなぁ…。
「どうするかなぁ。」
と、急に浮遊感に襲われる。
やばい階段あった…?! 落ちる…!!
痛みに備えて覚悟したけどいつまでたっても痛みはこなくて逆に背中から支えられてる感覚があった。
そろりと目を開けるとそこには、
「新開、くん?」
新開くんの顔が、近い。
もしかして私お姫様抱っこされてる?!
うわ、うわぁ…!
ヤバい、これはヤバい。めっちゃドキドキする。
新開くんがかっこよく見える…。
これが恋ってやつなのか?!
「天使が降ってきたかと思った。」
前言撤回します。
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