◎いつ電話しても話し中ってそれ着拒だから

「また話し中なのか…。」
「また例の幼なじみ?」
「うむ、何度かかけてはいるんだが繋がらないんだ。」
「何回くらいかけたんだ?」
「1日15回。」
「…………ヒュウ。」

起きてる間一時間に一回はかけてる…。
尽八さ、


いつ電話しても話し中ってそれ着拒だから


「しかたないのだ!ヤツはオレと並ぶほどの美しさを持ちつつ気さくな性格だからな!人気者なのだよ!」

また始まった。いつもの未来の彼女自慢。
休み時間ごとに聞いてるからオレもう空で言えるかも。

「結局さ、尽八はその幼なじみと付き合ってるの?」

その言葉にピタリと動きを止める。
あ、やべ、地雷踏んだ。

「お、オレは嫁になれるのはアイツしかいないと思っているぞ!だが今のオレはファンがたくさんいるからな!悲しませることはできんのだよ!」
「それ強がってるだけだろ。」
「うっ!ち、ちがっ!」
「現実は?」
「……………何度オレが好きだと伝えても頷くどころか心底嫌そうな顔をするのだ!この美形が言っているのに!」

あー多分こういうとこが嫌なんだろうな…。それで着拒か。
ちょっと同情するわー。

「尽八、一回その無駄な電話をやめて正々堂々と言う方がいいぞ。」
「それが出来たらとっくにしている!」

まじか。あの自信満々の尽八が弱気とは。
明日は槍が降る。

「学校が違う上に会えるのも正月くらいだ。
電話しなければ忘れられてしまうかもしれないだろう!」
「いや、もう十分すぎるくらい印象つけてるぞ。」
「隼人にはこの気持ちが分からんだろうな!もういい!巻ちゃんに電話してくる!」

いや、そりゃ分からんけど。
尽八って女子の扱いはオレに聞け!とかいうくせに奥手って言うかヘタレって言うか…。

『ってワケなんだけど。おめさんは尽八が嫌いなわけじゃないんだろ?聞いてるだけで可哀想になるから着拒はずしてあげてくれない?』
「新開くんごめん。でもそれはできない。」
『オレが死ぬ。』
「私も死ぬ。
でもまぁそこまでなら今度一回そっち行くね。もちろん嫌いじゃないけど直接言わなきゃわかんないね。」
『オレが死ぬ前に頼む。』
「墓前にはパワーバー供えとくから安心して。」

まだ何か言ってたけどじゃあねと通話を切る。
教室に帰ると巻島くんが頭抱えてた。

「尽八からでしょ。着拒すればいいのに。」
「それしたら家までこられた。」

それはすげぇ。
そういや尽八私の家には押しかけてこないな…。
多分直接顔合わせるとかっこつけれないからだろうけど。
ポンと巻島くんの肩を叩く。

「お互い大変だけど頑張ろうね。」

今度一緒に会いに行こう。



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