「ちょっと、あなた!!せっかく昨日買ったハイヒールが台無しじゃないの!」

よく見たらチンジャオロースを皿ごと落とした辺りの席に座っていたおばちゃんの足にまでピーマンやたけのこが飛んでいた。

「このハイヒールはね、ブランド物のハイヒールで3万円もしたのよ!
どう弁償してくれるの!?」

うっざ!!この手のおばちゃんは口うるさいからなぁ・・・。
ってかそんなブランド物のハイヒールを中華料理店に履いてくるあなたが悪いんじゃないの。パーティとか行く時にだけ履けばいいのに。

とりあえず頭を下げて謝らないと・・・

「大変申し訳ありません」

「何よあなた!本当に反省してるの?」

「はい」

「そんな顔に見えないんだけどね。
そうだわ。お店じゃ大変だろうからあなたがこのハイヒールの弁償をしなさい!」

「え・・・」

そんなことを言われても困る。
っていうかこれだけでそんなに怒ること?
この忙しい時にこっちの気も知らずにそんなこと言ってきて・・・無性にイライラする。
どうしていいのか分からなくて棒のように立ち尽くしていたら・・・

「お客様、大変申し訳ありません」

浅井くんが隣に来て頭を深々と下げて謝りにきてくれた。
私が悪いのに・・・。

「ここは俺に任せて。
琴浦さんはこぼしちゃった料理の作り直しとこのことを店長に伝えてきて」

私だけに聞こえるくらいの小さな小声で言われた。

「分かった!ごめんね」

「大丈夫だよ」と口に出さなくても分かるような笑顔で返事をしてくれた。
その一瞬でイライラが少し吹き飛んだ気がした。

私はすぐに浅井くんに言われた通りに事を運んだ。




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