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「本が・・・本が消えちゃったんだけど!!マスター!!」

どうしよう。私の一生の記録が・・・消えちゃった。

それなのに微笑んでいるマスターとメリアは一体何なの・・・。

「似合ってる、似合ってる!!えっと・・・シオンちゃんだっけ?すごく可愛いよ!!」

親指を立ててメリアは私にウインクをしてきた。
疑問に思っている私の顔色を察したマスターは何も言わずに私の上半身に向かって指を指す。

下を向いたら、黒っぽいチャイナ服を着ていた。
死んでからもチャイナ服を着れるなんて・・・!

もしかしてさっきの本がこのチャイナ服に変わったのだろうか・・・。

「それがシオンちゃんの死神としてのコスチュームよ。好きな服を着るとテンションが上がって楽しいわよねー!!」

私はメリアのテンションについていけない。

「じゃあマスターくん。もう一人の死神候補生を連れてくるからここでシオンちゃんと待ってて!」

「はいはい」

相変わらずのハイテンションのままメリアはスッと消え去った。
メリアがいなくなった後、マスターは私の方を真剣な表情で見てきた。

「琴浦紫音。
君は今から死神としての試用期間の間、名前は"シオン"とする。
"琴浦紫音"として消えるか、"シオン"として生きるか死神の仕事をして考えてみることだな」

「うん・・・」

試用期間の間に自分の答えを見つけろってことね。
考える時間を与えてありがとう。
そのお礼と言ってはあれだけど、その試用期間はしっかり働かせてもらおう。

「連れてきたよ!!」

ぼんやりと考えていたらメリアが戻ってきた。
どこに行ったのかは分からないけれど、こんなに早く行き来できるなんて死神って瞬間移動ができるのかな・・・?

戻ってきたメリアの隣には20代くらいの男がいた。
彼の格好を見てみると白いシャツに黒っぽいベスト、ズボンはスラックス・・・ってバーテンダーの格好じゃん!!
この人のあだ名を"マスター"にする方が合ってると思うんだけどな・・・。

「死神候補生のハルトちゃんでーす!!」

「よろしくお願いします」

ハルトはにっこりとして軽く会釈をした。
おっとりしていて、どこか大人としての余裕がある感じだった。
きっと私より年上かもしれないわね。

「シオンです。よろしく」

私も少しお辞儀をして彼に挨拶した。
悪い人ではなさそう。

死神の試用期間はこの人と一緒に仕事をするのね・・・。

どうせ少しの間、一緒に仕事をするだけだし余計な情もいらないから気楽に行こう。
この先のことも考えなくちゃ出し、自分のことだけ考えていよう・・・。



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