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―・・・パシッ!!

「いけません、シオンさん」

振り上げていた鎌の刃が付いている棒の部分を、振り落とそうとした瞬間にハルトに掴まれた。

「離して!!この人のせいで私は死んだ!!
許せない・・・許せないの・・・!!だから・・・止めないでよ!!」

「忘れたんですか!?
生きている人間には決して肉体と魂を切り離すことをしちゃいけないことを・・・」

初めて会ってからずっと笑顔だったハルトが真剣な目で見てくる。
そのギャップを見て抗えなかった。

「そうだけど・・・、そうだけど・・・。
嘘・・・つかれてたことが許せないの・・・。
こんな嘘をつかれてなかったら・・・私死んでなかったんだよ・・・?」

もうどうしようもない狂った感情しか分からない。
全身の力も抜ける・・・。
その抜けた力で振り下ろそうとした鎌も手放した。

こんなにも苦しいのに涙が出ない。
死神は泣く事ができないのかな・・・?

さっきの私の言葉に対しハルトは何も返事をしなかった。

ただ言葉を掛けてくれたのは・・・

「とりあえず、さっきのところに戻りましょう。シオンさん」

っとだけ。


ハルトに差し伸べられた手を取り引かれながらさっき休んでいたビルの屋上へ戻った。

遠くまで見渡せるビルの屋上は開放感が漂っていて、さっきの怒りを消してくれるような心地よさ。

けれどこんなつらい気持ちの時には雲がなく澄んだ青い空が憎い。

そんな空を見上げているハルト。私はその隣で体育座りをして塞ぎ込んでいた。

「シオンさん、元気・・・出して下さいね」

「・・・元気なんて出るわけないじゃない・・・。この消えない傷はどうしたらいいの?
あの時、ハルトが止めてなかったら私はスッキリしてたんだよ?」

それにこんなモヤモヤした気持ちが続くことはなかった。

「もしシオンさんがあの方を殺したとしても何も得られませんよ。傷が癒えるわけでもないですし」

反論された私は試用期間の後どうしようかと考えていた気持ちをハルトに話した。


「この掟を破れば、死神にはなれないかもしれない。
そしたらただ存在が消えるだけだし、嫌だったことを晴らして消えれば・・・それでも・・・それでもいいかなって思えて・・・」

もう死神としても生きていく自信がなくなっていた。

私に存在し続けるチャンスをくれたマスターとの約束を破ろうとしちゃったわけだし・・・。
感情に流される死神だなんて迷惑極まりないじゃん。

「消えるだなんて言わないで下さい」

「ハルトには私の気持ちなんて分からないよね。だからもう放っておいて・・・。消えるか消えないかなんて私の勝手なのよ」

「・・・そうですね。
僕から見たら、想いを寄せていた気持ちが憎しみへ変わったってくらいしか分かりませんし、シオンさんが消えるか消えないかなんて関係ないですもんね」

そうそう。よく分かってるじゃん。
どんなに好きな人でも愛が憎しみへ変わる事だってある・・・。
・・・って私はふられてばかりだったから恋愛には本当にいい思い出がないや。

こんな自分を好きになってくれる人だってきっといない・・・。






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