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「でも過去は過去です。時が経つと共に心の傷だって今より軽くなっていくと思いますよ。
・・・消えて全てを忘れるんじゃなくて、"死神"として全てを新しく生きるのもいいんじゃないですか?」
「わ・・・私はきっと死神に向いてないし・・・」
「向き、不向きじゃないと思います。
どう乗り越えていけるか・・・なんじゃないですかね。
それに頑張り屋のシオンさんならきっと大丈夫ですよ」
「じゃあ・・・頑張っても報われなかったらどうするのよ?」
今までの私はずっとそうだった。
どんなに恋愛を頑張っても報われなかった。
その難しい質問に彼は答える。
「そんなのは知りませんよ。
でもシオンさんが頑張っている姿を周りの人は見ていてくれていると思います。
それにその頑張りは望んだ形で報われなくても、必ず自分のためになっているはずです」
「ふっ・・・ふふ・・・あはは。ちょっと意外。とろそうなハルトがそんなことを言うなんて」
ハルトの話を聞いていたら、過去のことを引きずって落ち込んでいることがバカらしくなってきてしまった。
さっきまでのつらい気持ちがどんどん晴れていく。
あの憎かった雲一つない青い空のように。
「真面目に答えたつもりなんですけどねー・・・。
シオンさんに笑われるとは僕も説得力を身につけられるように頑張らないとですねー」
腕を組んで「うーん」と悩んでいる彼を見て口には出さずそっと思う。
―・・・それでも充分身についていると思うよ。
あなたがくれた答えでどれだけ私が救われたと思う?
ずっと自分で気づけなかった答えを与えてくれてありがとう・・・。
って恥ずかしいから本人に直接は言えないけど・・・。
でもどうしても今掛けたい言葉がある。
私は体育座りをやめて、立ち上がった。
悩んでいた頃より、周りがとっても広く見える。
「あー!!なんかスッキリした。
私、ハルトと一緒に仕事ができてよかったかも」
恥ずかしいけれどこれだけは言っておきたかった。
もちろんビジネススマイルじゃなくて、心からの笑顔で。
「僕もシオンさんと一緒でよかったです」
「私は、ハルトに何もしてないよ・・・?」
寧ろ助けられてばかりだったし・・・。
「いえいえ。シオンさんとだと仕事はスムーズにこなせますし、それに・・・」
「それに・・・?」
ハルトは首を傾げる私の右手を優しく取り、手の甲に軽くキスをした。
「ちょ・・・!?えっ・・・ええええ!?」
彼の性格から想像できなかったことをされて驚きを隠せない私。
不意な出来事に変に意識してしまってドキドキするし顔も赤くなる。
「一目見た時から思ってたんですよ・・・」
これって・・・もしかして・・・まさか・・・!?
まさか・・・告白されるとか・・・!?
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