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なに……それ…。
汚してしまったところを最後の仕上げにティッシュで拭いていた手が止まる。
ウソでしょ……?
あんな親切でぴょんぴょん子供みたいに跳ねてて…
面白くて…優しい…あの斐が…?
チャライのは格好だけだと思ってたのに、そんなことをしていたなんて…。
あたしは信じられなくなった。
それと同時に斐のことが怖くなった。
一歩引いてしまうような複雑な気持ちが幸せだった気持ちを蝕んでいく。
「有果ー?おーい!大丈夫ー?」
友達に声をかけられてハッと我に返った。
「だっ…大丈夫!大丈夫!マジで余裕だし!」
そう答えるだけが精一杯で、今はショックでその言葉以外に友達に何も言い返せなかった。
友達が聞く噂はいつも本当のことだらけだったから…。
今日も斐と会う約束をしていたんだけど、こんな複雑な気持ちで会いたくなかった。
だから……
『今日は用事あるからごめん。会えない』
っと斐にメールを送信しておいた。
昨晩のメールで会ったら雑貨を一緒に見たいとか、一緒に新発売したハンバーガーを一緒に食べようだとか話していたのに。
ドタキャンした無責任なあたし……。
それに斐より今日は会っておかないといけないやつがいる。
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