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「有果…!!」

風子の指差したほうから今日会うはずだった、斐が走ってくるのが見えた。


うそだ…。来るはずがない。
涙で目がぼやけているせいなのかな…。
手の甲でごしごしと涙をぬぐってみる。


「え…?斐……?な…なんで…? 」


急いで走って走ってきたのだろうか、斐は両膝に手を付いて乱している呼吸を整えつつ答えた。


「いや…その…。
えっと…こいつにすぐ来いって呼ばれたから……」


斐が指差したのは風子を盾にしていたソラってやつだった。
「てめっ!!余計なことしやがって…!!」っていうのは口に出さず、心の中で思いつつ眼をつけた。

あたしは斐と会うのは気まずいっていうのに、なんてことをしてくれるんだろう。


「有果。何で急にオレと会うのをやめちゃったの?
昨日までは会ってくれるって言ってたのに」

しょんぼりとしつつ、心配そうな顔で斐はあたしのことを見てくる。


「あの…えっと……」


そんな目で見ないでよ…。
何を言っていいのか分からないし、斐が怖いだなんて本人に言えない。

斐の顔も見ていられないあたしは黙り込んで下を向いてしまった。


「有果さん、不良だった斐くんが怖いんだって」


あたしが物凄く悩んでいて、どうしても口から出せない言葉を風子がさらっと斐に言った。




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