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「有果、これ見て」
そう言って斐は我に返ったあたしに、使い込まれてボロボロのガラケーに映った画像を見せようとしていた。
その画像を見るべく、恐る恐る斐への距離を縮めた。
明るいせいではっきりと見えない携帯画面がある方へそーっと近づく。
「これ……、カシオベア号じゃん!!」
その画像の正体は、斐と初めて会った時に盛り上がった話題の電車の写メだった。
「昨日走ってるとこを見かけて、やっと撮れたんだー!
メールで送ろうとしたけど…隣で有果に見せた方が、有果の笑顔を見れると思って。
昨日のメールで出し惜しみしてたんだ」
優しく微笑みつつ、あたしの方に顔を向ける斐。
最近、会っていた時に見せるいつもの笑顔。
その笑顔の裏はどう思ってるの?って考えてしまう。
あたしはこの人のどこが怖いの?
風子たちは斐を信じているのに……
肝心なあたしは……まだ彼を信じられないの?
自分の気持ちが分からない。
さっきまで座っていたベンチの端に戻って俯いてしまう。
―…ガタン、…ゴトン…。
「おっ!有果、電車がきたぞ」
あたしがいつも女友達と帰る時に見ている電車が駅へ停車した。
この時間は毎日、学校が終わって気が緩んでいる時間だった。
だけど……、今はこんなに気持ちが重たい。
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