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話しかけても俯き何も反応がないあたしを見て何を思ったのか、斐はまた教えてくれる。
「さっき話した中学の頃の話には続きがあって…。
オレは先輩とつるめば何でも怖くないって思ってたけど、一人でもまっすぐに立ってるソラが羨ましくなって仲良くなって…。
そのあいつと一緒に帰った日に、ちょうど踏み切りで電車が走っててさ…。
過ぎ去って行く電車を見てたあいつに『斐もまっすぐ走ったら?』って言われて。
どういう意味か聞いても教えてもらえなかったから、気になって踏み切りを通るたびに考えてた。
電車なんて毎日毎日、同じ時間に、同じ道を走っててくだらねーってしか思ってなかったんだよな。
でもある日その電車の線路がもっと延びて駅も増えたって聞いて…。
同じことのくり返しでも、まっすぐ走ってればいつか道は広がっていくんじゃないか気づいたんだ。
だからオレもいい加減に馬鹿なことやめて、まっすぐ走ろうかなって思った。
まっすぐ一生懸命に走ってた方が、目標までに一直線に向かえるもんな。
…って…、当たり前のことだけど。
それからなんっつーか、…電車が好きになったんだ」
……だからあんなに電車が好きなんだ。
こんな真剣な話は、今まで斐から全く聞いたこともないことだった。
第一印象はチャラ男だったのに・・・、本当はちゃんと考えていて自分の意志もしっかりしている。
隠したいような自分の過去をあたしに晒せる強さだって持っている。
斐はもうあの噂のような人じゃない……。
やっと気づいた。
今の斐は前を向いてまっすぐに進んでいるって。
それをあたしは斐と関わっている中で、分かってあげれていなかった。
噂ばかりに翻弄されて信用できなくなって…。
あたしの方が斐より大馬鹿者じゃん……。
斐も心の内を語ってくれたんだからあたしもちゃんと言わなきゃ。
重たくなっていた口をゆっくりと開いた。
「あたし……斐のこと信じてあげれてなかった。
今もあたしの知らないところで不良みたいなことしてるんじゃないかって、噂を聞いてからずっと思ってた。
それに斐が怖くなって会いたくなくなったりして…。
あたしは斐のこと信じてあげれなかった最悪な女だね。
もう会うのやめよ……?」
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